【弁護側提出の新証拠1(本件ぶどう酒と同じ形状の栓や瓶で開栓したことが分からないような偽装的開栓が可能とする実験結果の報告書など)について】偽装的な開栓があった証拠はなく、抽象的可能性にとどまる。現場状況などから、奥西勝元被告がぶどう酒を公民館に持ち込んで以降、人が集まり始める前の段階で公民館内で封かん紙を破って耳付き冠頭(外栓)を外し、傷を残すような方法で四つ足替栓(内栓)の開栓も行われ、替栓が再び閉栓されたと推認できる。この機会に毒物混入が行われたとみるのが相当だ。
【新証拠2(内栓にある極端な折れ曲がりを人の歯で生じさせることは不可能とする鑑定書など)について】折れ曲がりが、歯で生じた可能性を否定するまでの証明力はなく、歯で開けたとする自白の信用性に影響を及ぼさない。
【新証拠4(火挟みで外栓を突き上げて開栓する方法では、封かん紙の破片のような形状が生じることはないとする鑑定書など)について】元被告は封かん紙をどうしたのか覚えていないとも供述しており、自白の信用性は損なわれない。
【新証拠5(農薬ニッカリンTには着色料が含まれ、混入後のぶどう酒は赤色になったはずとする報告書など)について】元被告の自白に基づく量を注入しても色に変化がないことは一審の実験結果回答書などで立証済みだ。
【新証拠3(本件毒物にはトリエチルピロホスフェートが含まれていないとして、毒物が同物質を含むニッカリンTでなく、別のものだった疑いがあるとする2通の鑑定書など)について】異議審は、当時のペーパークロマトグラフ試験でトリエチルピロホスフェートを検出できなかったと考えることも可能としたが疑問だ。各成分の重量比などを考えれば、別成分は検出され、トリエチルピロホスフェートだけ検出限界を下回った理由を合理的に説明できない。
科学的知見に基づき検討したとはいえず、推論過程に誤りがある疑いがある。事実は解明されておらず、審理は尽くされていない。
試験で検出されなかったのは、ニッカリンTが含まれていなかったためか、検察側が主張するように、含まれていても濃度が低く、発色反応が非常に弱いことが原因なのかを解明するため、事件検体と近似条件で試験を実施するなど審理を尽くす必要がある。
〔共同〕
ぶどう酒、トリエチルピロホスフェート、偽装、証拠、毒物混入、最高裁、新証拠
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