「とても画期的な判決だ。徴用被害者に対する損害賠償を求める運動が大きく前進するだろう」
「第2次不二越強制連行・強制労働訴訟を支援する北陸連合会」の中川美由紀事務局長(50)は25日「今回の判決が、全ての企業が徴用被害者に対し損害賠償を行う契機になればと思う」と語った。
中川氏は1992年から「不二越」という企業で強制労働を強いられた勤労挺身(ていしん)隊被害者の訴訟を支援してきた。不二越は2000年、裁判所の勧告を受け、訴訟を起こした強制労働の被害者7人と和解し、賠償金を支払った。ところが不二越は、新たに訴訟を起こした被害者への賠償金の支払いを拒否し続け、昨年末には被害者側の訴えを棄却する判決が下った。中川氏は「不二越の社内でも、被害者への損害賠償を行うべきだという意見があったが、ほかの企業の目を気にし、結局訴訟を続行した」と話した。
韓国が日本の統治下にあった時代、日本の多くの大企業は徴用者を強制的に働かせていたため、特定の企業が損害賠償を行った場合、ほかの企業からのけ者にされかねないムードだった。中川氏は「今回の判決を受け、日本企業がすぐに損害賠償を行うことはないだろう。来月に(日本の)国会を訪問し、損害賠償に関する法律制定を求める方針だ」と語った。
「強制連行企業責任追及全国ネットワーク」の矢野秀喜事務局長(51)もこの日「韓国で画期的な判決が下った。三菱重工業と新日本製鉄は必ずや徴用被害者に対し損害賠償を行うべきだ」と述べた。矢野氏は「両社がこれまで裁判を続行してきたことから、自社にとって不利になろうと有利になろうとも、判決には従うべきだ」と指摘した。その上で「三菱重工業は韓国の人工衛星を打ち上げ、新日本製鉄も韓国のポスコと提携するなど、韓国でも企業活動を展開しているだけに、韓国での裁判の結果には従う義務がある」と語った。
一方、市民団体「日本戦後補償ネットワーク」もこの日、声明文を発表し「長期間にわたって日本政府や裁判所、国会が動かなかったことに対し、日本の市民として無力感を感じるとともに申し訳なく思う」と述べた。