名張毒ぶどう酒事件:名古屋高裁、25日に「再審」判断
毎日新聞 2012年05月21日 21時13分(最終更新 05月21日 23時22分)
鑑定は、ろ紙への染み込み方の違いで成分を分離する「ペーパークロマトグラフ試験」で実施。事件検体、対照検体の双方からテップ剤の主成分「TEPP」と、別の不純物「DEP」が検出された。ところが、ニッカリンT特有のトリエチルピロホスフェートが事件検体からは検出されず、同研究所は当時「水分と反応して分解された」と説明していた。
弁護団は第7次再審請求でこの食い違いを新証拠とし、犯行には自白と異なる農薬が使われたと主張する。
◇再製造品に24%
7次請求で高裁は05年、再審開始決定を出したが、06年に高裁の別の部が決定を取り消した。弁護団の特別抗告を受けた最高裁は10年、事件検体のぶどう酒からトリエチルピロホスフェートが検出されなかった点を疑問視、審理を尽くすよう高裁に差し戻した。
差し戻し審で、トリエチルピロホスフェートの含有量を弁護団は「17%以上」、検察側は「含まれていないか、多くても5%以下」と主張した。差し戻し審で再製造したニッカリンTの分析では、含有量が24・7%あった。弁護団は「事件検体の農薬はニッカリンTではない」と喜んだ。