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【社会】

自殺後 是正勧告10件 残業 月100時間超も

 ワタミフードサービスが二〇〇九年以降、経営する居酒屋などで、時間外労働・休日労働に関する協定(三六(さぶろく)協定)に定められた時間外労働の上限時間を超えて従業員を働かせていたとして、労働基準監督署から十件の是正勧告を受けていたことが、会社側への取材で分かった。〇八年六月に新入社員の森美菜さん=当時(26)=が過労自殺した後も長時間労働が残っている実態が明らかになった。

 三六協定は労使合意に基づき、例外的に従業員の時間外労働を認める手続き。協定で定めた上限時間を超えて働かせた場合は、労働基準法に抵触する。

 親会社のワタミによると、ワタミフードサービスは〇八年十月から、経営する「和民」など居酒屋全店の時間外労働の上限を、三六協定を結んで一斉に月百二十時間から七十五時間に引き下げた。

 是正勧告を受けたのは、首都圏や関西の居酒屋の九店舗と本社。〇九年二件、一〇年三件、一一年三件、今年二件だった(四月末現在)。協定の時間外労働の上限を、最長で一人当たり月三十数時間を超えていたという。

 勧告を受けた十件のうち三件の時間外労働は、厚生労働省が過労死との関連があるとする「過労死ライン」の月八十時間を超える勤務になっていた。

 是正勧告を受けた店舗には本社が指導し、改善を図ったという。

 ワタミ・ビジネスサービスグループの辰巳正吉グループ長は「客入りが予定を上回る場合もあり、上限時間をはみ出すことは現実にある。社員の業務の一部をアルバイトに委譲したり、必要人数に向けて採用活動するなど質と量で上限内に収まるよう改善を進めている」と話している。

 

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