私の大学は、医学科と看護科のみの単科大学だったせいもあり、大学時代の友達は医者と結婚しているコが多い。
私も学生時代からその後何年間かは医者と付き合っていた。
美しい話ではないが、私はそのレベルのステータスをもつ男とでないと結婚したくなかった。
生活を考えてとかではなくて、完全に見栄だ。
友達よりステータスの低い男なんて絶対嫌だった。
私は子供のころから、なにかと出来が良かった。というか、母親の理想通りの子供だった。
うちと従兄のうちは、昔から対抗心が強く、なにもかも比べられては、勝ち負けをつけられてきた。
だから、結婚相手も、普通のステータスの男じゃ嫌で、どんなもんだいっ!、って言える男が良かった。
自分もそんなステータスがあるような顔をして。
でも本質は。
食器なんか、私はなんでもよくて、百均で大満足できるのに、友達がウェッジウッドの食器がいいといえば、なにがいいのかもそう理解しないまま、その食器をそろえてみたり。
指輪なんて全然興味ないのに「婚約指輪は絶対ティファニーだよね。」などという会話になれば、ティファニーの指輪を買える男じゃないと嫌な気がしていた。
車だって、走ればなんでもいいし、家だって、雨風しのげればなんでもよくて。
でも実際、見栄を張ったものを購入していた。
この見栄は、友達が先に結婚していくにつれどんどん大きくなっていき、子供ができないことで更に大きくなっていった。
仕事の面でも、本質は、上に立ちたい性格でもないし、出世したいなんて野心もない。看護を追究したいなんて向上心もない。
なのに、偉そうに看護を語ってみたり。
生活のために働いているんじゃなくて、自己実現のために働いているんだ、みたいな顔をしていた。
でもでも。
本当は、好きな人と生活のために働いて、一生懸命子供を育てて、アパート暮らしでもいつか家を購入する夢なんかみて、貧乏でもささやかに幸せで。それでよかった。いや、それが良かった。
けど、私のアホみたいな見栄が許さなかった。
だから多分、しばらくは友達に離婚のことは言えそうにないし、距離を置くだろう。そのレベルのステータスの会話に加わりたくない。
そんな友達は友達でもないのだろうが。
生活レベルが違って、自分が低い立場のほうでも、気にすることなく付き合える人もいるんだろうけど。
私って。ダメな人間だ。
完全に、エリートクラスからは転落したけれど。
なんだか自分的には、地に足がついたかんじがして、楽になれた。
見栄を張った家具も買えないし、高級なご飯も作れないから、私の本来の感覚で買い物したり、選択できている。
ワンルームのアパートで、彼と子供とずっと同じ部屋にいて、ソファーもウォーターベッドもベビーベッドすらなくて、安いこたつに安いお布団敷いて、みんなでぎゅうぎゅうに寝て、ホームシアターもブルーレイもなくて、小さいテレビに内蔵型のハードディスクで彼と容量をとりあいっこしてるけど。
まだ暮らし初めて間もないせいも大きいだろうが。
旦那との生活よりも、私には分相応なかんじがしていて心地よい。