ここから本文エリア
現在位置:朝日新聞デジタル> マイタウン> 愛知> 記事
増える「債券詐欺」
2012年05月20日
●県への相談34倍 劇場型の手口
社債や公債の購入を勧めて現金をだましとる詐欺的商法の被害相談が近年、急増している。愛知県への相談は5年前に比べて34倍に増えた。社債購入を勧誘されて1億3千万円を支払った事例もあり、県が注意を呼びかけている。
県によると、8カ所ある県の相談窓口に寄せられた社債・公債をめぐる詐欺的商法の相談は、2011年度は242件に達した。被害総額は8億1千万円に上る。
06年度の7件(被害総額2080万円)から大幅に増え、このうち社債の購入を勧められる「社債詐欺」の被害相談がほとんどだった。「社債購入を持ちかけられ、お金を支払った後に音信不通となった」「高い利回りを提示されて社債を購入したが、利息が支払われない」などのケースがある。11年度は80代の男性が利回り9・8%とされた社債を1億3千万円分購入し、息子が「利率が高すぎる。だまされているのではないか」と相談してきた事例もあった。
このほか、名古屋市消費生活センターのまとめでも、被害額が1億円以上に上った事例が市内で3件あり、被害額も高額化している。
県の担当者は「低金利時代なので、お金に不安のある高齢者らからだまし取る手口が増えたのでは」と推測する。
県に寄せられた相談には、複数の企業の担当者を装って、電話をかけてくることで被害者を信用させる「劇場型」と呼ばれる手口が多いという。
例えば、50代女性からの被害相談によると、ある日、A社から女性の姉の家にパンフレットが届いた。その後、B社から姉の家に「お宅はA社の社債の購入権利がある。A社は間違いなく上場して2年で倍になる。その社債を欲しがっている人たちがいる」と購入を勧める電話があった。姉は両親らとともに計4千万円分の社債を購入したという。
県の担当者は「『必ずもうかる』という話はない。支払う前に周りの人や窓口に相談してほしい」と話す。相談先は「消費者ホットライン」(0570・064・370)。(佐藤恵子)
- PR情報
-
|