(cache) ５７００万円だまし取られる　田辺の80代女性

５７００万円だまし取られる　田辺の80代女性

　和歌山県田辺署は23日、田辺市内に住む80代の女性が、信託受益権購入のもうけ話を持ち掛けられ、計５７００万円をだまし取られたと発表した。

　同署によると、今年１月下旬、一人暮らしの女性宅に「ワタミ」と名乗る会社から、自社の信託受益権購入を勧誘するパンフレットが届いた。２月初めには証券会社「大阪トーミ」の社員を名乗る男から女性宅に電話があり、「ワタミの信託受益権があれば購入額の３倍で買い取ります」などと言葉巧みに勧誘を受けた。

　数日後、信用した女性は「ワタミ」に信託受益権の購入を申し込んだという。購入費は１口30万円。それから約１カ月の間、女性は自宅やＪＲ紀伊田辺駅前で、計７回にわたってスーツ姿の男に金を渡した。男は20～30代で３人が代わる代わる現れたという。

　その後も購入を勧誘する電話は絶えず、女性が「もうお金がない」と伝えると電話が通じなくなった。不審に思った女性が知人に相談し、23日田辺署を訪れた。同署が「ワタミ」について調べたところ、大阪府などの他府県でも、同様の会社名と電話番号で数件の詐欺被害があったという。

　県警生活安全企画課によると、今回のように信託受益権や未公開株、社債などの購入を持ち掛ける詐欺や嘘のギャンブル必勝法を教えて金を要求する詐欺などは、県内で２０１０年に初めて被害が発生した。この年は５件で約６４０万円だったが、11年は18件で約１億２９００万円と急増。今年は23日現在で、すでに15件発生し、被害額は約１億８３００万円に上る。

　生活安全企画課は「人間の心理につけ込んだ非常に悪質な手口。そんなにおいしい話はない。もうけ話を持ち掛けられたら、一度最寄りの警察署や県警本部に確認してほしい。書面での取引がない場合も注意して」と呼び掛けている。

(2012年05月24日更新)