位置情報を用いるモバイルアプリの中には、多くの親に安心をもたらしているものもある。例えば、「FamilyTracker」と「Life360」では親は子供の居場所を地図上で確認できるようになっている。
だがスミス氏をはじめ、プロフェッショナルな調査員によれば、位置情報の公開に無頓着で意図せず自分の情報をさらしてしまっているユーザーも少なくないという。
「10代の女の子の中には自分の裸の写真を撮って、それをボーイフレンドに送ったりしている子もいる」とセキュリティ専門家でsocial-engineer.comの運営者であるクリス・ハドナギー氏は言う。social-engineer.comではハッキング攻撃に対する顧客企業の脆弱性を測定するサービスを扱っている。
「そうした写真にはその写真が撮影された場所の位置情報が含まれる場合もある」とハドナギー氏。
米国とEU(欧州連合)の規制当局は人々のオンラインプライバシーを保護するための法整備を進めているが、SNS上の位置情報であれば、法を犯さずとも誰でもすぐに手に入れられてしまう。
「ユーザーが自ら承知の上で公開している位置情報もある」とカカバス氏。同氏は、詮索好きな人たちにとって他人のプライベートを細かに調べることがいかに簡単かを人々に周知させたいとの思いからCreepyを開発したのだという。
だがスミス氏は次のように警告している。「自身のセキュリティに無頓着な人に、Creepyのような情報収集ツールの存在を驚く資格はない」
米国とEUの規制当局は「インターネットユーザーには、Webサイトがターゲット広告の配信を目的にユーザーのデータを収集することを禁じる選択肢を与えるべきだ」との見解で一致している。
こうした要請に応えるべく、広告会社やWebパブリッシャー、プライバシー専門家などはW3C(ワールドワイドウェブコンソーシアム)の旗の下に集まり、「Do Not Track」ツールの最新版の策定にあたっている。Do Not Trackはブラウザにインストールして、オンラインマーケティング企業がWeb閲覧履歴を集めるのを禁止できるツールだ。
だが位置情報の扱いはそれほど簡単ではない。
「その人を法の下でどのように扱うべきかは、その人の居場所によっても違ってくるため、位置情報を一斉に禁止するわけにはいかない」とW3Cのメンバーであるオープンソースブラウザ団体 Mozilla Firefoxのアリシア・マクドナルド氏は指摘する。
「ただしわれわれは非常に正確な位置情報、つまり10軒ほどまで絞り込めるような位置情報については、Do Not Trackツールの精神にそぐわないとの見解で一致している」とさらに同氏は続けている。
copyright (c) 2012 Thomson Reuters. All rights reserved.
(翻訳責任について)
この記事はThomson Reutersとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。
(著作権、商標について)
ロイター・コンテンツは、トムソン・ロイター又はその第三者コンテンツ・プロバイダーの知的財産です。トムソン・ロイターから書面による事前承認を得ることなく、ロイター・コンテンツをコピー、再出版、再配信すること(キャッシング、フレーミング、又はこれらと同等の手段による場合を含む)は明示的に禁止されています。トムソン・ロイターは、コンテンツの誤謬又は遅延、或いはコンテンツに依拠してなされたあらゆる行動に関し一切責任を負いません。 Reuters(ロイター)及びReuters(ロイター)のロゴは、トムソン・ロイター及びその関連会社の商標です。ロイターが提供するその他のメディア・サービスについてお知りになりたい場合は、http://about.reuters.com/media/をご参照ください。