日本経済新聞

5月26日(土曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

コンテンツ一覧

東京ふしぎ探検隊

ホイチョイ馬場氏「バブル文化の原点はTDL」

(2/2ページ)
2012/4/6 7:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷
この記事をはてなブックマークに追加
この記事をmixiチェックに追加
この記事をLinkedInに追加

■1980年代の流行スポットには米軍関連施設があった

 1980年代半ばから1990年代前半のバブル景気前後に流行スポットとなった六本木や麻布、赤坂、青山、原宿などには、共通する点がある。それは、米軍関連施設があった場所、ということだ。

 これらの場所には赤坂プレスセンターや在日米軍の住宅であるワシントンハイツなどがあり、周辺には英語表記のある店が多かった。1980年代に人気となった横浜・本牧も、もとは進駐軍の住宅があった場所だ。

 当時の若者にとって、横文字文化へのあこがれがあったのだろう。あのころ「日本離れ」しているということは褒め言葉だった。「イケてる」街の条件だった。その裏には、日常への嫌悪感があったのではないかと思う。

 日常は汚いもの。ダサイもの。だからこそ清潔感があり、洗練されているように見えた米国文化にあこがれた。それが明確に形となって登場したのがTDLだった。

画像の拡大

 当時「空間」という言葉がはやり、空間プロデューサーなる人々が活躍したのも、非日常を求める風潮があったからだろう。

 1980年代半ばから注目を集めたウオーターフロントもまた、非日常の空間だった。倉庫が立ち並ぶ無機質な空間には、ダサイものがなかった。あの場に足を踏み入れた瞬間、単純にかっこいい、と思った。と同時に、湾岸エリアは日本で初めて、「流行スポット=米軍関連施設」という呪縛から解き放たれた場所でもあった。それは今に続いている。

■あのころの非日常は日常になった

 ウオーターフロントブームは過ぎ去り、現在の芝浦には高級マンションが林立している。あのころ非日常だった場所は日常になった。かつて汚い、ダサイと思っていた場所が少なくなり、日本という国がそれだけ成熟したということなのだろう。

 バブル期を振り返るとき、多くの人は「変な時代だった」などと言う。でも、それはおかしいのではないか。香港でも中国でもシンガポールでも、バブル景気はあった。世界中どこででも、バブルは起こっている。日本の場合、バブルの止め方を誤っただけであって、バブル自体が悪いわけではないと思う。

 当時の日本はインフレなき好景気だった。高度成長期や他国のバブルのように公害をまき散らしたわけでもない。当時は自殺者が少なく、しかも減少傾向にあった。今はどうだろう。

 「あのころは異常だった」などと言う人は、今という時代を肯定している人の負け惜しみにすぎないのではないか。経済成長は悪いことではない。(聞き手は河尻定)

馬場康夫(ばば・やすお)
1954年生まれ。東京出身。成蹊大学在学中にホイチョイ・プロダクションズを設立。1981年から小学館の漫画雑誌「ビッグスピリッツ」誌上で4コマ漫画「気まぐれコンセプト」を連載中。主な映画監督作品に「私をスキーに連れてって」(1987)、「彼女が水着にきがえたら」(1989)、「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」(2007)。4月からテレビ朝日系で始まった新番組「東京上級デート」を手掛ける。

読者の皆様のコメントを募集しています。
コメントはこちらの投稿フォームから

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷
この記事をはてなブックマークに追加
この記事をmixiチェックに追加
この記事をLinkedInに追加
関連キーワード

馬場康夫、松任谷由実、田中康夫、ホイチョイ、ディスコ、テニス

東京ふしぎ探検隊 意外な歴史スポット

東京ふしぎ探検隊 都会のミステリー

【PR】

【PR】

東京ふしぎ探検隊 一覧

2002年9月末に閉鎖した「ららぽーとスキードームSSAWS(ザウス)」(2002年2月ごろ撮影)

巨大迷路がイケアや大病院に あのテーマパークは今

 バブル期にはやった遊び場といえば、巨大迷路やテーマパーク、屋内スキー場などがある。しかし多くのテーマパークは経営に行き詰まり、巨大迷路ブームはあっという間に終息した。あれから20年。当時人気を集めた…続き (5/25)

アサヒビール本社ビル(一番右)にスカイツリーの姿が映り込む。まさに「ダブルツリー」(東京・浅草)

日本一の地下道、逆さスカイツリー…東京ふしぎ旅行

 スカイツリー、ゲートブリッジ、渋谷ヒカリエ……。東京に話題のスポットが続々生まれ、人気を集めている。しかし、巨大都市・東京の魅力はそれだけではない。複雑に張り巡らされた地下網、江戸時代の水路跡、ファ…続き (5/2)

かつてスクエアビルがあった場所は駐車場になっていた

六本木にバブルの痕跡 マハラジャ・スクエアビルは今

 1980年代後半から90年代前半にかけてのバブル時代、東京・六本木は若者であふれかえっていた。ディスコ、バー、レストラン。当時人気だった店は今どうなっているのか。20年前の地図を片手に歩いてみた。
…続き (4/20)

【PR】

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

日本経済新聞の公式ページやアカウントをご利用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について