東京電力福島第1原発事故で、東電は24日、事故翌日の昨年3月12日から同31日までの放射性物質の放出総量(ヨウ素換算)を90万テラ(テラは1兆)ベクレルとする推計結果を公表した。経済産業省原子力安全・保安院が2月に試算で示した48万テラベクレルの1.87倍で、チェルノブイリ原発事故(1986年)の520万テラベクレルの17%の数値だ。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「他の評価ともオーダー(桁)は合うが、ヨウ素131はやや過大評価の可能性が残る」と話した。
東電はモニタリングポストで計測された放射線量の変化などから、原子炉から放出された放射性物質の量を推計。1〜3号機の格納容器圧力の変化、水素爆発、炉内の気体を放出するベントなどの時間と突き合わせ、いつ、どの号機から放出されたかを解析した。さらに、当時の風向などから拡散状況を分析し、文部科学省による土壌の沈着量調査結果とも比較的一致することを確認した。
その結果、キセノンなどの希ガス類とヨウ素131がそれぞれ約50万テラベクレル、セシウム134、137がそれぞれ約1万テラベクレルと放出総量を推定。ヨウ素は保安院推計の約15万テラベクレルより多いが、放出されやすさを高めに仮定した影響とした。
各号機の推計では、2、3号機が多く、それぞれ全体の4割を占めた。残り2割が1号機とみられ、4号機からの放出はなかった。
福島県飯舘村など北西方向に広がった汚染は、3月15日朝と夜に、2号機原子炉建屋から放出された計約10万テラベクレルのヨウ素131などが、当時の風向や降雨で沈着した影響と推定。1、3号機の水素爆発による影響は比較的小さいとした。
[時事通信社]