'12/5/26
列車とシカ 衝突事故が多発
広島市安佐北区や安芸高田市のJR芸備線で、列車とシカが衝突する事故が後を絶たない。近年は年間100件以上起き、本年度も24日現在、昨年度の5月末時点より3件多い15件に上る。徐行運転などの対策も効果が薄く、JR西日本広島支社は対応に頭を痛めている。
同支社によると、芸備線で2007〜11の各年度に起きたシカの衝突事故は188〜101件。広島、山口、島根3県にまたがる管内の全件数に占める割合は、高い年度で75%、低い年度でも47%に上る。夜間の発生が多い。車両に不具合などが出て、運休や30分以上の遅れにつながった事故は昨年度の1件に対し、本年度は既に3件ある。
14日午後10時5分ごろには、安芸高田市の吉田口―向原間で普通列車がシカと衝突。約10分後に運転再開したが、10時45分ごろ、同市の向原―井原市間で再び別のシカに衝突した。上下2本が最大32分遅れ、約180人に影響が出た。
同支社も対策を講じてはいる。02年にはシカが嫌がる音が出るとされる装置を試験的に導入した。しかし、ほとんど効果はなく、現在は使っていない。
08年からは、事故多発区間で最終列車などを時速30キロ以下で運行する「シカ徐行」を美祢、山陰両線とともに始めた。芸備線は向原―井原市間の一部など計8区間を対象とし、そこでの事故はほぼ無くなった。しかし他区間で増加し、担当者は「全区間で徐行するわけにもいかない」と頭を抱える。
同支社は「列車が遅れるたびに多くの人に迷惑がかかる。乗客にけがが出ないよう何とかしたい」とするが、新たな事故防止策は打ち出せていない。
【写真説明】JRが芸備線沿いに設置しているシカ注意の標識(安芸高田市向原町)