つなぐ 希望の木
災難を乗り越えてきた木々を、都内に訪ねた。
【スポーツ】低支持率との戦い 東京 20年五輪1次通過二〇二〇年夏季五輪の「立候補都市」を東京など三都市に絞り込んだ二十三日(日本時間二十四日)の国際オリンピック委員会(IOC)の決定は、東京に国内支持率の低さに加え、原発事故による電力不足と放射能汚染を世界が深く憂慮しているという現実を突きつけた。震災からの「ニッポン復活」とスポーツの力による「団結」を掲げる東京。来年九月の最終選考に向け、厳しいスタートを切った。 IOC作業部会の報告書は、立候補申請した五都市の開催計画をそれぞれ十四項目に分類し、評価を数値化。部会内での最大値と最小値を公表した。総合評価は示されていないが、全体的に東京とマドリードが高評価で並び、イスタンブール(トルコ)が続いた。 東京は宿泊施設に加え、会場配置や輸送計画、治安などで高い評価を獲得。欧州の財政危機の影響などもあり、財政面でもマドリードとイスタンブールを上回った。 逆に、東京の評価を下げたのは、前回の一六年大会でも最大の敗因とされた国内支持率。IOCが首都圏で行った調査で「賛成」と答えたのは47%。72〜90%が支持した他の四都市と比べると、突出した低さだった。 加えて、そこに原発事故による電力不足と放射能汚染の風評が追い打ちをかける。 都は電力不足について「五輪で増える電力消費量は東京電力の供給能力の0・1%にすぎない。安定的な電力供給に問題はない」と説明する。しかし、IOCの報告書は「原発の見直しで電力不足のリスクはさらに増大する可能性がある」と指摘。福島県内に放射能の高濃度汚染地区があることも懸念する。 招致委員会評議会の小倉和夫事務総長は「五輪開催に影響はないと、分かりやすく説明しないといけない」と話すが、報告書は原発事故への風評が根強いことを裏付ける。 都に寄せられる意見の中には「五輪に金を使うなら被災地支援に回せ」などと、反対も少なくない。招致委の担当者は「被災地の子どもたちと一緒にスポーツをしたアスリートが、一時的にでも元気を取り戻す子どもたちの姿にスポーツの力を実感している。この現実を受け止めるべきだ」と反論する。「なぜ今、東京で五輪なのか」。招致委は国民の支持に加え、海外の理解も得るという難題に取り組むことになる。 PR情報
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