特にニコ動でその傾向は顕著。「楽しいから」「楽しんでもらいたいから」動画を投稿するというのがクリエーターたちの基本路線であり、それが商業コンテンツに対するプライドでもある。こうした文化を背景に、奨励プログラムは一部ユーザーのあいだで物議を醸し「炎上」も引き起こした。
■コンテンツ革命最大の壁への挑戦
他人の動画をコピーして作者になりすましたり、二次利用が許可されていない素材を使ったりしたユーザーが不当に利益を得る可能性がある――。奨励プログラムの構想が発表されて以降、こうした「穴」をブログやツイッターなどを通じて糾弾する声が高まった。実際、奨励プログラムへの参加申請があった中で、不正なものがいくつか報告されている。
ドワンゴはこうした権利侵害などがある作品を、ユーザーからの不正報告やスタッフによる巡回チェックなどを経て除外するため、振り込みまで3カ月の猶予期間を設けている。しかし、本当にすべての不正を見抜けるのか、疑問視する声は多い。クリエーターを支援するつもりが、逆にクリエーターの権利や利益を損ねる結果を招くのではないか。そうした声がドワンゴに多数届き、川上会長のツイッターにも「反対派」の刃が向いた。ドワンゴの公式な回答はこうだ。
「正直に申し上げれば、不正を完璧に100%防げると断言するのは難しい。ただし、できるかぎり最大限の努力はしていく。また、悪質な申請者に対しては、法的な対応を検討している」
こうなることはある程度、予期していた。それでも奨励プログラムの運用に踏み切ったのは、ニコ動経済圏の確立を前進させるためにほかならない。
ニコ動のクリエーターは「役に立たない」「才能の無駄使い」と揶揄(やゆ)されてきた。「ニートは日本最大の遊休資産」と言ってはばからない川上会長は、その「エネルギー」をお金に、果ては外貨に換金する「エンジン」としてニコ動を機能させ、何とか日本に貢献できないかと思考を巡らせている。まずは、もうけることを嫌うネット文化を少しずつ変えねばならない。奨励プログラムはそのための試金石なのだ。活動の場をニコ動に閉じているクリエーターにとっては、さらに大きな意味を持つ。
■ニコ動経済圏に閉じた「スター」に報いる
ニコ動で活躍する誰もがプロデビューを果たしたいと考えているわけではない。踊り手の「まころん」さんもその1人だ。20歳代後半の彼女は、08年からボカロ曲を中心に踊ってみた動画を投稿し始め、その本数は今年5月時点で32本となった。うち2本の再生回数は100万回を超えている。
「楽しいからやってるっていうのが一番です。趣味の一環という割には大変なんですけどね」。そう笑う彼女は、普段は茨城県内で栄養士として働く日々。夜間や休日を利用してダンスを練習しては投稿し、人気に火が付いた。まころんさんのファンクラブというべきニコ動のコミュニティー「まころん@神龍と秘密の部屋」には、2万5000人ものメンバーがいる。
4月末に千葉市の幕張メッセのイベントホールで開かれたニコ動発のスターによるライブ「ニコニコ超パーティー」にも出演した。会場入り口に飾られた祝い花のうち、実に半分が彼女向けなど、超が付く人気の踊り手だ。しかし彼女は、芸能人になりたいとは思っていないという。
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