「かわいそうだよね、お嫁さんが」
「うん、かわいそう。私だったら、泣いてる」

これは僕とワイフの会話です。

FacebookがIPOした翌日、ザッカーバーグが長年、付き合ってきたガールフレンドと電撃挙式を挙げました。そのニュースを見て、上のような会話になったのです。

FBが公募価格を割れて、死亡フラグが立っている時に、「挙式ーッ!」というニュースが出たので(なんじゃ、それ)と、思わず調子が狂いました。

IPOと結婚式。おめでたいことがダブルで続くということは慶ぶべき事であることは、僕も否定しません。

でも上っ面の皮をひん剥いて、その中に見え隠れする心象風景に思いを馳せた時、なにか醜いものが見えて来る気がするのは、僕だけでしょうか?

先ず、結婚式というのは準備するのが大変です。

そんなエネルギーの要る仕事を、IPOと同時に進めるということは、株主に一言あいさつがあっても、いいよね?
IPOロードショウというのは、経営者が全力で体当たりすべきイベントなのです。

その大事なイベントに対して、自分の神経を100%コミット出来ないような予定を、SECや投資家に断らずに入れてしまうところにザッカーバーグの経営者としての子供っぽさ、もっといえば株主をバカにした、ナメた態度を感じずには居られないのです。

僕は別にザッカーバーグが変人であることを批判しているのでは、ありません。経営者には奇行で有名な奴は沢山いるし、むしろそうじゃないと斬新なことはできません。

でも世間に対して株を売り出すと、それなりの責任というものが付随して発生するのです。IPOロードショウに出てこないとか、ナスダックのオープニングにタイムズ・スクウェアまで出向いて鐘を鳴らさないとか、いちいちワガママな態度を取っているけれど、これを咎める人はメディアにも投資関係者にも殆ど居ません。

だけど長い事、株式公開する社長サンのカバン持ちでペコペコ媚びへつらう仕事をしてきた僕の経験から言うと、得意の絶頂からボコボコの袋叩きまではE5系「はやぶさ」くらい超スピードで、堕ちるときは、堕ちる。

さて、僕がもっと問題にしたいのは奥さんのキモチです。

結婚は女性にとって一大イベント。だから結婚式に辿りつくまでの心の準備や挙式の準備は、そのひとつひとつが「夢」の実現のプロセスなのです。

その自分の「夢」に対して、100%のアテンションを払ってくれない伴侶というのは、やっぱり淋しいものがあるんではなかろうか?そう思う僕は考え方が古風すぎますかね?

僕にはザッカーバーグが彼女をないがしろにしたような態度と、彼の株主に対する斜に構えたポーズは同根のものだと感じます。

資本市場は、そんなに甘くないよ。

兎に角、上場後の初決算だけは、キッチリした数字を出して貰おうか?