家族性地中海熱は公費負担が受けられるのか??
今まで家族性地中海熱について公費負担が受けられたとか、受けられないとか議論がありましたが・・・調べた結果判明したことがあるので発表いたします。
家族性地中海熱は現在公費負担が受けられません。 端的に言うと、原発性免疫不全症候群の1種ではあるんですがその中の自己炎症性疾患に区分されており、この種に限った疾患は公費負担の対象ではないと明記されております。 誠に残念ですがFMFで公費負担を受ける場合は主治医の同意の下、病名を変更して手続きしてもらうか、先生も手続きのことは詳しくなかったということにしてもらわなければ手続きするのは無理ということです。 ウチも残念に思っています。 今後も先生方が厚生労働省に強く働きかけてくれるのを祈りましょう。 7)自己炎症性疾患(注:公費負担の対象となっていません■概念
家族性地中海熱(familiar Mediterranean fever, FMF)
成因:
PyrinをコードするMEFV遺伝子が原因遺伝子である。Pyrinは、ASC (apoptosis-associated speck-like protein with caspase recruitment domain)と結合し炎症を抑制する機能を持っている(競合的抑制)が、変異により抑制ができなくなり、カスパーゼI活性化をもたらし、Pro-IL-1βからIL-Iβへの変換が亢進し、IL-1βの過剰産生にいたる.変異により、カスパーゼI活性化の直接的な抑制もできなくなる。NF-κBの活性化、apoptosis の抑制による単球、好中球、軟骨細胞のアポトーシス不全も起きていると考えられている。すなわち、炎症の抑制分子として働いているpyrinの機能低下により、炎症が亢進することが本症の本態である。
症状:
反復発熱,漿膜炎,単関節炎,血管炎,発疹,腹膜炎を起こす。無治療では30〜50% が長期的な炎症の結果アミロイドーシスを合併し、腎不全にいたる。
検査所見:
発熱発作時の白血球増多、急性期反応蛋白の上昇、漿液中C5a inhibitorの低下が認められる。
遺伝性:
常染色体劣性遺伝。(16p13)。国内でも30例以上の報告がある。
治療:
コルヒチン内服を行う。遊走能を抑制して好中球の炎症部位への浸潤を抑制すると考えられている。周期的な発熱発作やアミロイドーシスの予防に効果がある。
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