旅館での食事
旅館での食事で憧れてしまうのは、食事を部屋に出す「お部屋出し」です。時間さえ決めておけば、スタッフが部屋まで料理を運んでくれるという。これも日本独特の宿泊スタイルです。この部屋出しは特に女性に好評です。
毎日家族の食事の世話をしているため、たまには上げ膳据え膳でというのは嬉しいですよね。この「部屋出し」スタイルには、昔から伝われてきた旅館の哲学が隠されているのです。四角い部屋の中ですべてを行えるようにする。
床の間で花を愛で、景色を楽しみ、中心の空間でくつろぎ、そこでお茶や食事までいただく。そして最後にはその場で寝ることもできる。これぞまさに「休暇」の理想的なスタイルだと思いませんか。しかし、最近ではこのようないい伝統もなくなりつつあります。
旅館の機能的な部分を優先的に考え、食事を食堂などで行うという施設が圧倒的に多いのです。部屋に匂いがつく、人件費がかかる、プライバシーがないなどと、利用者からもスタッフからも「やりづらさ」を感じる声が多くあがっているそうです。