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石巻がれき反対派抗議 北九州で搬入8時間半遅れる
 | がれき受け入れに抗議し、福岡県警の排除に抵抗する反対派グループ=22日午後4時10分ごろ、北九州市小倉北区(提供:西日本新聞) |
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東日本大震災で発生した石巻市の震災がれき約80トンが22日、試験焼却のため北九州市小倉北区の不燃物保管施設「日明(ひあがり)積出基地」に搬入された。試験焼却に反対する人が激しい抗議活動を繰り広げたため、予定より約8時間半遅れの作業となった。反対派の2人が福岡県警の強制排除に抵抗し、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。北九州市は予定通り23日から試験焼却を行う。 がれきは19日に石巻市をトラック28台で出発。午前9時ごろ、最初の6台が施設前に着いたものの、反対派約40人が施設正門前で先頭のトラックを取り囲んで搬入を阻止。「市長を呼べ」などと大声を上げ、阻止活動を続けたため、市は午後になって「業務に支障がある」として、門の前からの移動を求めて警告。午後4時ごろ、同県警の警察官約40人が強制排除した。 午後8時までに27台が施設内に入ったが、1台は施設入りできず、23日以降に荷卸しする。 諌山修・市循環社会推進部長は「(反対派の抗議行動は)残念。今後も話し合っていきたい」と話した。 施設内では、市の委託業者が重機を使ってトラックからがれきが入った袋を降ろし、袋を破いてがれきを取り出した。 市は23〜24日に日明工場(小倉北区)で約32トン、24〜25日に新門司工場(門司区)で約48トンを試験焼却する予定。試験焼却を通じて、がれきに含まれる放射性物質の濃度や工場の空間放射線量を測定する。22日に予定されていた保管施設の敷地境界での空間放射線量などの測定は23日に行う。
◎40人強制排除 逮捕者も 石巻市の震災がれきが運び込まれた北九州市の専用施設では22日、反対派が道路に座り込み、トラックの進行を長時間にわたって阻止し、警察が強制排除する騒ぎになった。 「帰れ」「持ってくるな」−。午前9時、不燃物保管施設「日明積出基地」(小倉北区)前にがれきを積んだトラックが続々と到着すると、「放射能ガレキNO!」などの横断幕を広げて待ち構えた約40人の反対派が、道路に座り込んで搬入を阻止し、市の担当者たちと押し問答になった。 警察は何度も警告したが、状況は変わらず、午後4時、警察が反対派を抱きかかえて道路の外に出す強制排除を開始。抵抗して2人が公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。 反対派の激しい抵抗の背景には、行政が公開するデータへの根深い不信がある。市は「灰に放射性セシウムが付着しても有害物質を除去する『バグフィルター』で99.9%以上を除去でき、人体、環境に影響はない」と市のホームページ上で説明。しかし、20日に北九州市内で開かれた反対派の集会では、参加者たちは「正しく計測しているとは思えない」と訴えていた。 一方、震災復興のため「がれきを受け入れるべきだ」と考えている市民は少なくない。反対派のがれき搬入阻止について「自分の周りしか考えておらず視野が狭い」(小倉北区の34歳女性)と批判する声もある。
2012年05月23日水曜日
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