生保トップへ


最低生活費
H20年度

平成21年5月17日公開


目次
第1章 生活保護費 T.最低生活費としての生活保護費
U.生活保護費の算定
V.級地別単身生活保護費の実額例
W.世帯構成別生活保護費
X.生活保護費概算額計算例
第2章 最低賃金
第3章 最後に

1章 生活保護費

T.最低生活費としての生活保護費

今の日本で生きていくのに最低どのくらいの金が必要か。
これは「生活保護費」をもってその額とみなすことができます。
生活保護費の水準は、「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができる水準であり、具体的水準は「一般国民の生活水準と均衡のとれた最低限度のもの」とされています。

U.生活保護費の算定

生活保護費の算定にはいくつかの特徴があります。
第一に地域の物価差・生活様式の差によって消費水準を全国6区分しています(この区分を「級地」と呼ぶ)。
第二に生活保護費は、世帯ごとに算定され、世帯の家族構成(人数と年齢)によって、それぞれ細かく計算されます。
生活保護費の計算方法は極めて複雑です。それは、1人の人間、一つの世帯に必要な最低限度の保護費は、それぞれの環境によって異なるためそれぞれ異なり、また国民の税金から支出するものですから、人が人らしく生きられる最低限度の金額に絞り込む必要があるからです。
このように生活保護費の金額は、異論はあるにしても、根拠のある数字を積み上げたなかなかの数値が算出されています。

V.級地別単身生活保護費の実額例(概算)

@住宅扶助を除く場合
通常月額(単位:円)
級地区分 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2 単純平均
年齢 東京区部 福岡市 小樽市 大垣市 花巻市 (鳥取県)
20〜40歳 83,700 79,940 76,170 72,400 68,630 64,870 74,285
41〜59歳 81,610 77,940 74,260 70,600 66,920 63,250 72,430
60〜69歳 79,530 75,960 72,370 68,800 65,210 61,640 70,585
年齢平均 81,613 77,947 74,267 70,600 66,920 63,253 72,433
年間金額(単位:円)
級地区分 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2 単純平均
年齢 東京区部 福岡市 小樽市 大垣市 花巻市 (鳥取県)
20〜40歳 1,034,030 987,570 1,037,740 907,670 906,590 813,280 947,813
41〜59歳 1,008,950 963,570 1,014,820 886,070 886,070 793,840 925,553
60〜69歳 983,990 939,810 992,140 864,470 865,550 774,520 903,413
年齢平均 1,008,990 963,650 1,014,900 886,070 886,070 793,880 925,593
A住宅扶助を含む場合
通常月額(単位:円)
級地区分 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2 単純平均
年齢 東京区部 福岡市 小樽市 大垣市 花巻市 (鳥取県)
20〜40歳 137,400 116,940 105,170 104,600 99,630 100,870 110,768
41〜59歳 135,310 114,940 103,260 102,800 97,920 99,250 108,913
60〜69歳 133,230 112,960 101,370 101,000 96,210 97,640 107,068
年齢平均 135,313 114,947 103,267 102,800 97,920 99,253 108,917
年間金額(単位:円)
級地区分 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2 単純平均
年齢 東京区部 福岡市 小樽市 大垣市 花巻市 (鳥取県)
20〜40歳 1,678,430 1,431,570 1,385,740 1,294,070 1,278,590 1,245,280 1,385,613
41〜59歳 1,653,350 1,407,570 1,362,820 1,272,470 1,258,070 1,225,840 1,363,353
60〜69歳 1,628,390 1,383,810 1,340,140 1,250,870 1,237,550 1,206,520 1,341,213
年齢平均 1,653,390 1,407,650 1,362,900 1,272,470 1,258,070 1,225,880 1,363,393
持家の場合と借家の場合では、住宅費用にかかる金額が大きく違うので、2本立てとした。
B持家と借家の単純平均(年齢平均)
級地区分 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2 単純平均
東京区部 福岡市 小樽市 大垣市 花巻市 (鳥取県)
通常月額 108,463 96,447 88,767 86,700 82,420 81,253 90,675
年間金額 1,331,190 1,185,650 1,188,900 1,079,270 1,072,070 1,009,880 1,144,493
※年額と通常月額×12ヶ月の差額は「冬季加算」及び「期末一時扶助」という冬場に特別な扶助が出る。
上記の例では次のとおり。
級地区分 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2 備考
扶助の種類 東京区部 福岡市 小樽市 大垣市 花巻市 (鳥取県)
冬季加算 3,090 2,950 22,160 5,320 14,280 4,770 11月〜3月。都道府県で異なる
期末一時扶助 14,180 13,540 12,900 12,270 11,630 10,990 12月

W.世帯構成別生活保護費

世帯人数が2人以上の場合、世帯人数と年齢によって加算されます。
加算額の計算もまた実際には極めて複雑なため、単身者の金額に係数を乗じて合算することによって概算額を算定することとします。
●世帯人員の増加に伴う加算率
0〜2歳の
場合の
加算率
1人目
加算率
2人目
加算率
3人目
加算率
4人目
以上
加算率
持家の場合 0.44 0.44 0.39 0.36
借家の場合 0.38 0.27 0.24 0.22
借家の場合で世帯人数が2人以上の場合、、住宅費用にかかる扶助金額は2人目以降で不要となる(その分広い家が必要になるからその分の増加はある)ので、加算額はその分持家の場合より少ない。
●年齢別加算係数(対0〜2歳加算率)
追加
世帯人員
3〜
5歳
6〜
11歳
12〜
19歳
20〜
40歳
41〜
59歳
60〜
69歳
70歳
以上
1〜2人目 1.01 1.29 1.43 1.25 1.19 1.14 1.04
3人目以上 1.16 1.48 1.46 1.24 1.18 1.12 1.01
生活費用は、年齢によって異なるため、世帯人員が2人以上の場合もその分の考慮が必要となる。

X.生活保護費概算額計算例

☆例題)
2級地−233歳男(世帯主)、29歳女(配偶者)、4歳子の3人世帯、借家の場合
●モデルとなる単身者
モデルケース ケース 月額 一時金 年額
1級地−1
(東京都)、
50歳単身
住居なし 135,310 29,630 1,653,350
住居あり 81,610 29,630 1,008,950
●級地係数
1級地ー1 1級地ー2 2級地ー1 2級地ー2 3級地ー1 3級地ー2
1.000 0.955 0.910 0.865 0.820 0.775
●年齢係数
20〜
40歳
41〜
59歳
60〜
69歳
1.03 1.00 0.97
●生活保護費概算額
元額(A) A×級地
係数(B)
本人額
B×年齢係数
29歳女の
加算額
4歳子の
加算額
保護費合計
概算額
A×0.865 B×1.03 B×0.38×1.25 B×0.27×1.01
通常月額 135,310 117,043 120,554 55,595 31,918 208,068
年間保護費 1,653,350 1,430,148 1,473,052 679,320 390,001 2,542,374
生活保護費は各世帯の実情に即して、非常に細かな算出式が組まれていますので、概算額を算出するに当たっては、このように一定のモデルで金額を出し、そのモデルとの対比率で算出する方法が簡便と思われます。
※級地は1級地−1が大都会。級地が上がるごとに消費水準の低い地方になっていきます。
具体的な該当地域の級地はウィキペディアの住宅扶助など他のホームページや資料で調べてください。
※上記一時金は冬季加算と期末一時扶助です。冬季加算は寒い地方ほど高く加算されます。

第2章 最低賃金

最低賃金は法で地域ごとに定められたもので、この時給を下回る労働契約は違法となり、当該時給で給与が計算・支給されます。
最低賃金は、生活保護額との整合性に配慮して、都道府県ごとに決定されることとなっています。第1章の単身生活保護費の金額と比べてみてください。
具体的な都道府県ごとの最低賃金額は「賃金のすがた」のページの短時間労働者の章に一覧表を載せてあります。

第3章 最後に(いくらあれば生活できるのか)

生活は多くの人が苦しいというが、苦しい・楽だという基準などない。気分によるものだ。
よく見えるものは他人との比較だ。しかしその他人もいろいろだ。

多くの人の場合、自分の家計より多い収入や財産やよい待遇の人たちと比べて、自分は不幸だと言う。
ここは、きちんとした基準となるものさしを明らかにしなければならない。
ものさしは@日本人の労働者の総平均の家計、A現代において最低限の暮らしができる金額、の2つを考えた。
総平均は労働・生活統計のコーナーの各ページで明らかにしたとおりである。
このページは最低限の暮らしに必要な生活費の金額を算出することを試みたものである。
その結果が上記2つの生活保護と最低賃金から見えてくる。
ザクッといえば、最低の暮らしに必要な金額は、単身で全国平均的に概ね9万円である。世帯人数が1人増えたら0.4倍を加える。もう一人増えたら0.3倍を加える。それ以上増えたら0.2場合を加える。そんなところであろう。
収入は多ければ多いほどよいが、人間の欲望にはきりがない。
概ね9万円という水準は、それなりに綿密に積算された結果である。
生活困難に直面している私たち労働者は、消費支出をこの額の範囲で賄う方法を考えておくべきである。
収入は多くなくても、最低限に近い消費支出で工夫して、心豊かに暮すほうがいい。
上がり続ける給料、引退年齢まで確約された雇用などあり得ないと思っていたほうがいい。