社説:数土委員長辞任 公正な報道のNHKを

毎日新聞 2012年05月25日 02時30分

 しかし、昨年の原発事故の後、東電は報道機関にとって、深刻な問題が山積の取材対象で、今後もそうあり続けるだろう。さらに、実質国有化されることになり、国民からのチェックがこれまで以上に必要になった。受信料で成り立つNHKは国民の立場に立って、東電を取材し、評価や批判をする必要がある。その時に視点の偏りや遠慮があってはならない。

 だから、取材する側と取材される側、双方の経営陣に名前を連ねるのは道理に合わない。わかりやすくいえば、NHKが「東電の数土氏」を取材するケースもありえるのだ。兼職はジャーナリズム倫理と相いれない事態だった。

 この人事を推進した政府の言論や報道に対する問題意識の低さも、おおいに批判されるべきだろう。NHKの経営委員を任命することの重さを一体、どう考えているのだろうか。

 問題は今後のNHKのあり方だ。さしあたって、次の経営委員長の人選が注目される。国民はNHKに対して一定の信頼感を持っている。公正で中立な報道で権力をチェックするNHKであるべきだ。引き続き、そのあり方を注視したい。

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