ロシア頼みの宇宙開発、独自技術開発に遅れ

 その上、当初技術移転を約束していたロシアが急に態度を変えた。宇宙ロケットで最も重要な1段目ロケットのエンジンを含む主要技術に関しては移転できないと伝えてきたのだ。ロケットを共同開発するのではなく、金を払って購入せよという意味だった。ロシア政界は「韓国への技術流出が懸念される」として、韓国との技術保護協定の締結を要求し、07年に協定が結ばれた。こうして韓国は宇宙ロケットの開発に着手できないまま、ロシアに5年も振り回された。

 切羽詰まった航空宇宙研究院は、ロシアに代わり、1段目ロケットエンジンの技術を提供してくれる新たなパートナーを模索した。ウクライナから30トン級のロケットエンジン技術を学んだものの、韓国にはその性能をテストする燃焼実験施設がなかった。結局このエンジンは開発できないまま終わった。

 ロシアは2009年になって、自国でも打ち上げ実験を終えていない1段目ロケットを韓国に提供した。これを基に製作された「羅老(ナロ)号」は、2度の打ち上げがいずれも失敗に終わった。

 韓国航空大の張泳根(チャン・ヨングン)教授(宇宙工学)は「宇宙ロケットは国家安全保障に絡む技術であり、簡単に供与してくれる国はない。むしろロシアとの契約を破棄し、韓国が独自開発を進めていたら、今ごろわれわれのロケット技術はかなり進んでいたはずだ」と指摘した。韓国は今でも1段目ロケットのエンジンをテストする総合燃焼試験場がない状況だ。

 しかし、航空宇宙研究院で羅老号の開発責任者を務めた趙光来(チョ・グァンレ)羅老号発射推進団長は「ロシアから学んだ技術が全くなかったという批判には同意できない。独自開発していたならば、韓国のロケット技術は現在の水準にまでは到達していなかったはずだ」と反論した。

■液体燃料ロケットと固体燃料ロケット

 液体燃料ロケットは、固体燃料よりも推進力が大きいため、重い衛星や物体を宇宙に打ち上げるのに主に使われる。短距離ロケットに使用される固体燃料ロケットは、打ち上げ準備期間が短く、大陸間弾道ミサイル(ICBM)など兵器用途に主に使われるが、最近は低軌道衛星の打ち上げにも使用される。

李吉星(イ・ギルソン)記者
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