前回の「ホテルのテレビで字幕が見られない」話の続きです。
なぜホテルや旅館など宿泊施設でのテレビが字幕が出ないようになってるのか、さらに調べてみた。そして次の結論に到達した。
- 字幕付きテレビが見られないようになってるのは、無知からではなく、承知の上での故意である。
- この状況を改めるには、字幕をわざと出なくしている問題があることを多くの人に周知させる必要がある。
- 利用者は、我慢してはいけない。むしろ積極的に「字幕を出せ」とクレームを入れなければならない。
ホテル・旅館側は、承知の上でわざとやっている
この問題についてこれまでの意見を見ると、「ホテル側ではこんな問題があるとは気づいていない」「知らないでやっている」という説明を見ることが多い。
が、この説明は誤りだ。「わかってて、わざとやっている」これが事実だ。
実際、自分がホテルや旅館等でクレームを入れると、ちゃんと字幕が出るよう対応してくれた事は、前回でも書いた。これは、対応の仕方を知っている人が現場にいる事を意味している。本当に知らなければ、解決方法もわからないはずだ。つまり、こういう問題があることを知っている人がおり、対応方法もあらかじめ用意されている、ということなのだ。
ホテル従業員の中には問題があることを知らない人もいる。が、少なくとも現場責任者レベルでは、間違いなく知っている。ベストウェスタンホテル京都でも、最初に対応したフロントの人は知らなかった。が、しばらくやりとりをしていたら、対応の仕方を知っている人が出てきた。
字幕をわざと出なくしている理由
Yahoo! 知恵袋に次の質問を出してみた。
ホテルのテレビで「字幕を出すな、邪魔だ!」とクレーム出す客って本当にいるんでしょうか??
インターネットで本当に「字幕が邪魔だ」とする声があるのかどうか、調べてみたが見つからない。むしろ逆に「字幕が見られない」という声の方が多い。そういうクレームがある、というのはホテル側のでっち上げではないか。そう質問した。
回答はこうだった。
そこまでズバリの苦情は無いでしょう。
しかし、字幕が邪魔だから消す方法を教えてくれという苦情はあるでしょう。
こういう人は、情報リテラシーも低いので、そういう声がインターネット上には上がらないのだという。インターネットが使えるような人なら、自分で字幕表示を操作できるので、苦情にならないという。
そこで、補足で質問を追加した。
テレビのそばに「字幕が必要な方は申し出て下さい、見られるようにします」との説明をなぜつけないのでしょうか。これがあれば、両方共に円満解決できるはずですが。
その回答が、こうだった。
確かにお書きの通りです。
しかし、これを書いてしまうと本当に必要な人以外の方から要望が来てしまう可能性があります。
当然に対応すべき内容なのですがホテルとしては少しでも手間がかかるような事は避けたいという力が働きます。
「ホテルとしては少しでも手間がかかるような事は避けたい」これが、ホテル側の本音なのだ。
しかし、ここで思考停止してはいけない。回答を深読みする必要がある。
「字幕が邪魔だから消す方法を教えてくれという苦情はあるでしょう」と言っている。つまり、字幕が使えなくしてくれ、とは誰も言っていないのだ。単純に、自分には字幕は必要ないので消してほしい、それだけ。
つまり、ホテル側が字幕の消し方を教えればすむ話なのだ。そういう人は電話でフロントに問い合わせるだろう。フロントから電話で消し方を教えれば良い。それでもわからなければ、客室に出向いて字幕を消してあげれば良い。それだけの事だ。
字幕を消してほしいと言った客は、目先の字幕しか考えてない。自分の行為のしわ寄せが、まさか耳の聞こえない人達に行ってるとは思っていないだろう。説明すれば、「あ、耳の聞こえない人達が困るのか、じゃいいよ、自分でやるから」とあっさりと納得するだろう。そして自分で字幕の消し方を進んで覚えようとするだろう。たとえ覚えられなくても、それはホテル側が対応すればすむ話である。
それなのに、本当は字幕が出せるのにそれを隠し、耳のきこえない客が来ててもわざと知らせない。知らん顔を押し通すことで、耳のきこえない人からのクレームが出なくすることを目論んでいる。わざと、しわ寄せを耳の聞こえない人たちの方に持って行っているのだ。
誤った、卑劣な対応だと言わざるを得ない。誰も字幕を出すなとは言ってないのに、わざと字幕を出せなくすると言う、自分勝手な、行き過ぎた行為を取っている。耳の聞こえない人達の人権を侵害した、障害者差別なのだ。
耳の聞こえない客を、客扱いしていないのだ。このことに怒るべきである。
実は、似たシステムが病院にもある。が、こちらの方は字幕が出るのが普通なのだ。入院している患者さんには字幕が不要で、かつ字幕表示を操作できない人もいるはずなのに、こっちの方は全然問題になっていない。
さらに、外国のホテルではどうかというと、むしろ積極的に字幕表示を導入している。
明らかに、日本固有、ホテルや旅館側の姿勢の問題なのだ。
この問題を多くの人に知らせよう、積極的にクレームを入れよう
以上で、ホテルや旅館などでテレビに字幕が出ないようになっているのは、ホテル・旅館側の自分勝手な都合からだということを明らかにした。
耳の聞こえない人達でも、本当はホテルや旅館のテレビでも字幕が出せることを知らない人が多い。そして字幕が出ないと気づいても、「そういうものか」と納得して我慢している、そういう人が多い。字幕をわざと出なくしている人達は、そういう心情につけ込んで利用しているのだ。
もういいかげん、そんなお人好しな対応はやめよう。相手をつけあがらせ、利用されるだけなのだから。本当は、ホテルや旅館などでもテレビに字幕は出せる。
テレビの字幕放送は、何十年にもわたる活動の成果なのだ。耳の聞こえない人達だけでなく、心ある技術者の協力もあり、長年根気よく活動を積み重ねてきた成果だ。ホテルや旅館などの自分勝手で、字幕が見られなくされて良いはずがない!
しかも、ホテルや旅館などは問題があるとわかっててわざとやってるのだ、怒って当然なのだ。ホテルや旅館側は、自分の行為が不当なものだということもわかってるので、反論できない。クレームを聞いて、字幕が出るように対応するしかない。
堂々と確信を持って、ホテルや旅館に怒りをぶつけて良い。
字幕が出せないテレビのあるホテルや旅館には、こう言えば良い。
「今すぐ字幕を出せ!」
「最初からすぐに字幕が出せるように用意しろ!」
そして積極的に、まわりの知り合いなどにこの問題を知らせてほしい。クレームを出す人が多ければ多いほど良いのだから。ホテル側は「どうせ少数者だ」とあなどっている。みんな我慢しているだけ、知識がなかっただけで、本当は少数者などではないことを思い知らせてやってほしい。
これは大きな声では言えないが……
ホテルや旅館では字幕が出ないのは、故意であることを明らかにした。
「じゃ、これを口実にして宿泊代を踏み倒せるかも」と考える人が出てくるかも知れない。うまくいくかどうかはわからないが、「できるかも知れない」と考える人は出てきそうな気がする。
当然ながら、僕はこのやり方は勧めない。きちんと金を払った上で宿泊者として当然の要求を出した方が良いと考える。この方が、正当な権利として主張できるからだ。
しかし、ホテルや旅館側は故意に字幕を出せなくしているという引け目があるだけではなく、問題があることを故意に隠してもいる。訴訟に訴えたら、わざと字幕を出せなくしているという問題も公になってしまうので、自分から問題を公にするような行動はとれない。この点を狙われる可能性はあると思う。
訴訟と言えばもう一つ
旅行先で災害に遭った時は、皆さんもテレビを見て情報を集めるだろう。この時に字幕が見られないと、状況がつかめないので今後の見通しも立たない。耳の聞こえない人達に不利益をもたらしている。つまり、実際に旅行先で災害に遭い、テレビに字幕が出せなかったという人がいれば、ホテルや旅館に対して訴訟を起こせるはずだ。
これはべつに将来の話ではない。直近でも、東日本大震災の時にそういう経験をした聴覚障害者がいるはずだと思う。
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