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【経済Q&A】

競争ない家庭向け割高 企業優遇なぜ?

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 全国の電力会社十社の収益の仕組みが二十三日の経済産業省の審議会で公表され、家庭など小口向けで電気事業の利益の七割を稼いでいる実態がはっきりした。電力販売量の六割を占める企業向けは利益の三割程度。企業向けが優遇され過ぎだとの疑念がわいてくるが−。

 Q 電力会社は、どう利益を出していた?

 A 沖縄を除く九社が、家庭向けの利益が大きいという、ほぼ同じもうけの構造になっている。中でも七月からの家庭向け料金の値上げを申請した東京電力は利益の九割を家庭向けで稼ぎ、企業向けは一割にも満たない。

 Q 家庭向け料金が割高なのは納得がいかないね。

 A 電力会社側の言い分では、企業には発電した電気を高圧のまま届けられるが、家庭向けには電圧を下げて届けるための設備が必要で、その分だけ割高になるという。

 ただ、電力会社がなるべく家庭向けで稼ごうとする実態もある。「規制部門」と呼ばれる家庭など向けは電力会社が各営業区域内で販売を独占し、家庭は電気を買う先を選べないからだ。さらに、発電の費用に利潤を上乗せできる「総括原価方式」によって、電力会社が身を削らなくても安定的に利益が出る仕組みになっている。

 Q 企業向けはどうなっているの?

 A 企業向けは「自由化部門」と呼ばれ、電力会社が自由に価格を決められる。電力を小売りする新規参入事業者との競争もあるから値引きしている。東電の大口利用者の料金平均単価は、一キロワット時当たり十一円八十銭と、家庭向け(二十三円三十四銭)のほぼ半値だ。

 Q いまの仕組みを根本的に変えられないのかな?

 A 利用者が電気を買う先を選べない、電力会社の「地域独占」を壊すしかない。政府は早ければ来年にも電気事業法を改正、家庭向けの電気料金を自由化し、総括原価方式を廃止する考えだ。

 専門委員会では「総括原価をやめ、競争があれば料金は安くなる」(安念(あんねん)潤司中央大院教授)との指摘があり、適切な競争環境をつくれるかが鍵になる。 (岸本拓也)

 

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