東京スカイツリー(東京都墨田区)のお膝元、押上(おしあげ)・業平(なりひら)地区では急増する観光客のマナーをめぐり住民との摩擦が生じている。
《ゴミのポイ捨て禁止!ルールを守って楽しく観光!》《関係者以外、駐車場内に入ることを禁じます》
民家やマンションの壁に、真新しい手書きで大量に貼り紙がされていた。食べ散らかしたごみが放置され、自販機横のごみ箱からはペットボトルや空き缶があふれ出す。住民らによると、撮影場所を求めマンションの外階段に無断で上る人も続出しているという。
風の流れが変わった可能性も指摘されている。ツリーの南90メートルにある喫茶店主、竹田恵子さん(60)は「建設が始まってから店先の看板が5回、強風で飛ばされた。何とかしてほしい」とツリーを見上げた。
東京スカイツリータウン開業広報事務局によると着工以来、地元町会長や区と2カ月に1度ほど会合を持ち、騒音や交通安全などの課題を話し合ってきた。冬場にツリーからの落雪が民家や倉庫を直撃し、運営会社は展望台の内壁にヒーターを取りつけた。事務局の担当者は「地元あってのツリー。今後も課題を共有していきたい」と話す。
同じ大規模複合施設の六本木ヒルズは、開業当初に住民との摩擦を経験した。運営会社が呼びかけ、入居企業の社員らが住民と月1回程度、ボランティアで街一帯を清掃する。同社は「住民と一緒に街をつくる意識でやっている」としている。業平1丁目町会の杉本光男会長(72)は「ツリーは地元へ恩恵をもたらす。共存していきたい」と話した。