電力需給ひっ迫や料金値上げで産業ガスメーカー苦慮
12/05/24
夏季の電力需給不足と東京電力の電力料金値上げに、産業ガスメーカー各社が対策を急いでいる。電力需給への対応では、昨夏の東電管内における電力使用制限令への対応実績もあり、各プラントは概ね減量運転で乗り切る構え。また、西日本を中心に計画停電が実施された場合は、ほかの地域からの長距離輸送などで対処する。
ただ、計画停電の対象日時・地域が決まっていないことから、各社は複数のケースを想定してシミュレーションし停電実施に備える。電力料金値上げについては、日本産業・医療ガス協会が中心となって値上げ反対の意向を示しているが、各社は料金不払いによる電力供給停止を回避するため、「仮払い」の形で料金納付する方向。値上げ分には過去の電力値上げ時と同様、販売価格に転嫁する方向が定まりつつある。
各社は中西日本のひっ迫を見越し、想定されるケースに対する対応策を複数用意。昨夏の東電管内での実績も踏まえ、計画停電がない場合は減量運転や夜間増産などを行い、プラントは停止せずに乗り切る構え。いったんプラントを停止すると再稼働までには事前の準備なども含め約2日が必要で、コスト的にも損失が大きくなるためだ。
ただ、需給ひっ迫が著しい関電管内では各社とも対応に苦慮しているもよう。大陽日酸は西日本に大型プラントが多くなく「15%の節電は何とかやり繰りできる」とみている。計画停電など事態が悪化した場合も東海地区などからの応援で乗り切る構えだ。一方、岩谷産業は関西に比較的大型のプラントが多く対応が難しい。関電グループと共同出資し液化水素やセパレートガスを製造するハイドロエッジ(堺市西区)は、「節電への協力もあり稼働を停止しなければならないかもしれない」(牧野明次社長)ほか、ほかの大型プラントにも影響が出ると予想される。
電力料金値上げについては未確定要素が残るものの、「需給ひっ迫と値上げでコストアップは避けられず、販売価格への転嫁をお願いせざるを得ない状況」(エア・ウォーターの今井康夫社長)だ。
A5判 308頁
ISBN:978-4-88318-419-4
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