ギリシャ:暴力事件が相次ぐ
毎日新聞 2012年05月24日 13時18分
【ジュネーブ伊藤智永】総選挙のやり直しで国内対立が激化しているギリシャで、暴力事件が相次いでいる。西部の港町パトラで22日、6日の総選挙で初めて国会に議席を獲得した極右政党「黄金の夜明け」の支持者ら約300人と警官隊が衝突し、双方で計15人が負傷、5人が逮捕された。
衝突は先週末、30歳のギリシャ人男性が、アフガニスタンからの移民3人組にナイフで襲われて死亡した事件がきっかけとなった。不法移民による治安悪化に苦しむ住民と、移民排斥を強硬に主張する同党支持者らが、アフガン移民が住みついている地元の古い倉庫跡に、集団で抗議に押し掛けた。覆面姿でギリシャ国旗を振りながら叫ぶ若者らが投石や放火を始め、警官隊も催涙ガス弾で対抗する騒動となった。
一方、先の総選挙で議席に届かなかった右派小党・国民正統派運動の候補者が23日、見知らぬ男たちに襲撃された。けがはなかった。候補者は同日朝、財政緊縮策推進を呼び掛ける新民主主義党に移籍すると発表したばかり。犯人たちは「移籍にいくら支払われたのか知ってるぞ」と言って殴りかかったという。