段ボール家具は、間伐材を使った床や木製家具とも見事に調和。イスがちょうど収まるよう設計されたシェルフは、廊下との間仕切りの役割も兼ねている。段ボール家具の製作を手がけたダンディンドン(www.dandindon.com)の加納久朗さんによれば「このメインホールの大きな円形カウンターも、圧縮した国産杉の天板以外はすべて段ボール。ひとくちに段ボールといっても、木から最初につくられるバージンパルプ含有量などによって、強度や色合い、手触りなど様々な種類があるんですよ」とのこと
遠藤貴也=写真撮影協力/港区立エコプラザhttp://eco-plaza.net/
段ボールといえば、引っ越しや宅配便の箱詰めが定番。しかし、最近では“家具”としてのニーズが高まっているという。東京都の港区立エコプラザでは、数年前よりカウンターテーブルをはじめ、ラックや棚、来館者用のイスやテーブルに段ボール家具を採用。担当者の廣瀬真也さんによると「デザイン性と機能性、耐久性も十分に備えています。4年ほど使ってますが、多少のキズやスレなどの使用感があるかな?という程度ですね」とのこと。また、個人での購入者も多く、ネット上に多くの専門店が存在している。豊富なデザインの家具を販売する『ダンボール倶楽部』のチャッピー岡本店長は昨年より「数十%は売れ行きが伸びている印象」と語る。しかし、本当に段ボールが素材で、家具の強度は大丈夫なのだろうか。
「普通の段ボールではなく、強化段ボールを使っています。耐水性も高く、重機や精密機器などを輸出する際、木箱の代わりに使用されるくらい丈夫。1m角の箱を作った場合、約2tの重さに耐えるといわれています」(チャッピー岡本店長)
その強度を生かせば、ほとんどの家具が製作可能だという。なかでも人気が高い家具を聞いてみた。
「イスやテーブル、収納棚などが多いですね。ほかにも、ちゃぶ台やベッド、本棚、子どもが遊ぶ木馬なども人気です」
高さ1m程度の収納棚で値段は2万円前後。決して安くはないが、それでも選ばれる理由があるという。
「例えば、転勤の多い単身赴任の人からは、楽に組み立てられて、不用になったときの処理が容易という声が多く聞かれます。軽いので模様替えが簡単にできていいという声も多いですね。ほかにも、段ボールに色を塗ったり、カッターで好きな形に加工するなど、自分なりのカスタマイズをしたい人にも人気です」
まだ珍しい段ボール製の家具だが、木製や金属製と並んで、スタンダードな素材になる日も、そう遠くないかもしれない。
(笹林 司)
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