クローズアップ2012:違法ダウンロード罰則案、国会提出へ ワンクリックで犯罪?
毎日新聞 2012年05月24日 東京朝刊
音楽や映像を違法に複製した「海賊版」を、インターネット上に配信する違法なアップロード行為だけでなく、海賊版をパソコンや携帯電話に取り込むダウンロード行為にも罰則を科す法案の修正案が今国会に提出される見通しだ。CDなどの売り上げ不振が「海賊版が多くダウンロードされたため」だとする音楽業界の意向を受けた動きだが、ネットに違法な音楽や映像があふれている現状に、利用者側から「パソコンのワンクリックで誰もが犯罪者になる恐れがある」と懸念の声も上がっている。【岡礼子、青島顕】
◆手続き
◇利用者側、懸念の声
海賊版の音楽や映像をアップロードする行為は90年代に違法となり、現在は「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金」が科せられる。一方、ダウンロードは2010年の著作権法改正で違法とされ、民事上の責任を問われることになったが、罰則は「違法性が軽微」として見送られた。
前回の法改正翌年の11年後半、自民、公明両党が音楽業界の意向を受けて、ダウンロードに罰則を設ける「私的違法ダウンロード防止法案」を議員立法で準備したが、提出には至らなかった。