【北京聯合ニュース】中国漁船が北朝鮮に拿捕(だほ)され、約2週間後に解放された事件を機に、中国で「反北」世論が急速に広がっている。
黄海で操業中の中国漁船3隻は今月8日、中朝の境界線を越えたとして北朝鮮の船に拿捕されたが、拘束されていた乗組員28人は21日、拘束から13日ぶりに中国・大連港に戻った。
拘束中に北朝鮮の軍人から暴行や非人間的な扱いを受けたとする乗組員の証言が報じられたこともあり、中国のネット上では北朝鮮への反感が噴出している。
中国版ツイッター(短文投稿サイト)「微博」では、「一切の北朝鮮機関と協力しないようにしよう。取引もやめよう。北朝鮮レストランを排斥しよう」と訴える書き込みが広がっている。
あるネットユーザーは「北朝鮮政府が外貨稼ぎのために経営している北朝鮮レストランを排斥すべきだ。だが、韓国人や朝鮮族の経営する店が被害を受けるようなことがあってはいけない」と書き込んだ。
また別のネットユーザーは「先週、北朝鮮レストランである客が金正恩(キム・ジョンウン)のことを口にしたら、従業員に取り囲まれ、謝罪を求められた。客が公安(警察)に通報し、外交当局に報告がいき、ようやく解決した」と紹介し、中国人の反北感情をあおった。
一部の中国人は、経済援助を含め中国から少なくない支援を受けている北朝鮮が、自国の漁船を拿捕したという事実に憤り、北朝鮮に対する一切の人道支援を中断すべきだと主張している。
中国のネット上でこれほど反北世論が強まるのは、北朝鮮が中国など国際社会の自制要請を振り切って2度目の核実験を強行した2009年以来、初めてと指摘される。
中国人の非難は、事を荒立てずに済ませようとした自国の政府にも向けられている。漁船の乗組員が10日以上も正体不明の勢力に拘束されていたにもかかわらず、北朝鮮に一度も正式に抗議できなかったのは屈辱的だとの意見が、ネット上で飛び交っている。
こうした世論を意識したかのように、中国の政府や国営メディアは、漁船の拿捕が中朝友好関係に基づき円満に解決したとする一方で、北朝鮮に問うべきことがあれば問うとの姿勢を暗に強調している。
事件後、明確な言及を控えていた中国外務省の洪磊報道官は22日の会見で「外務省は事件を注視しており、平壌、北京で北朝鮮と密接に連絡を取ってきた。中国の漁船管轄部門が、詳細を調査中だ」と述べた。
ただ中国共産党機関紙、人民日報系の「環球時報」は前日の1面で、乗組員の帰国を伝えながら、中国と北朝鮮が今回の事件について正式な言及を自制している状況は、両国間の意思疎通が円滑なことを示すものだと報じた。
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