サムスン電子関係者は「発注取り消しは、取引先の同意が前提となっており、下請け企業で被害を受けたところは1社もない」と断言した。
しかし公取委は、明らかに被害があり、サムスンには違法行為があったと指摘した。公取委関係者は「発注取り消しの大半は、納期後になされており、取引先は在庫負担、半製品や原材料の処理、生産計画への支障などによる付加的な被害を受けた」と指摘。その上で「再発注は発注取り消しそのものに対する補償とはなるが、付加的な被害への補償とはならない。再発注額が当初の発注額を下回った場合には、発注取り消しに対する補償も不十分だ」とした。
サムスンと取引関係にあるA社の関係者は、本紙取材に対し「いくら再発注があるといっても、本来の契約が履行されるのに比べ、さまざまな被害が発生する」と話した。
公取委はまた、発注取り消しに対する「同意」が事実上の圧力によるものだったとみている。公取委関係者は「調査では、やむを得ず同意した企業から証言を得た」とした。
サムスン電子関係者は「1日の間に同じ企業との間で、注文とキャンセルが何度も繰り返されるIT産業の事情に公取委の理解が足りない。ノキア、アップルなどの多国籍IT企業はいずれもサムスンのような発注システムを持っている。なぜ韓国の公取委だけがそれを問題視するのか分からない」と不満を語った。