政治【主張】電力全面自由化 いまは安定供給が先決だ+(1/2ページ)(2012.5.24 03:15

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【主張】
電力全面自由化 いまは安定供給が先決だ

2012.5.24 03:15 (1/2ページ)主張

 電力市場の改革を検討する経済産業省の専門委員会が、家庭用を含めて電力販売を全面自由化する方針を示した。来年の通常国会に電気事業法改正案を提出し、数年かけて実施するという。

 電力料金引き下げにつながる競争は重要だ。だが、それには、社会インフラである電力の安定供給体制の確立が大前提となる。

 今のような電力不足下で自由化されると、売り手市場になって逆に値上げにつながらないか。当面は、電力不足の早期解消に全力を挙げるべきだろう。

 電力市場は、大口需要家向けから段階的に自由化されてきた。現在、対象は契約電力50キロワット以上の中小工場にまで拡大され、電力会社以外の特定規模電気事業者(PPS)が参入している。

 家庭用は自由化されていない。値上げには政府認可が必要だ。そうした規制を取り払い、幅広い料金引き下げにつなげる狙いだ。

 ただし、健全な競争を促すには、電力会社を含めて多様な事業者が需要以上に供給を競い合うことが必要だ。需要家が自由に事業者を選べることが前提になる。

 現在は、定期点検を終えても原発が再稼働せず、国内すべての原発が停止している。一部事業者の自家発電が足りず、PPSも、供給力が不足して新規の契約などは見合わせている状況である。

 適正な競争原理を働かせる条件が整わない中で、政府の認可が不要となれば、かえって値上げを引き起こしかねない。全面自由化はあくまで、安定供給が実現された後の課題として慎重に制度設計されるべきだろう。

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