5月23日のながさきニュース
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長崎新聞
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県が国への要望を中止と発表
| 「知事としての発言が言葉足らずだった」と話す中村知事=県庁 |
県は22日、今週予定していた国への施策要望を中止すると発表した。自民党県連大会での中村法道知事の“政権批判”発言に対し、民主党県連が猛反発し受け付けを拒否したため。知事は「言葉が足りず誤解を与えた」と釈明、説得を続ける構え。識者からは政権与党の対応へ疑問の声も聞かれた。
要望は例年、政府予算案の概算要求が8月にまとまるのを前に、知事や県議らが上京し与野党や中央省庁に行う。2009年の政権交代後は、国会議員や省庁に直接要望することが禁じられ、県連、党本部を通す仕組みになったため、今回は省庁にも出向けない異例の事態となっている。
民主党が問題視したのは、13日の自民党県連大会で「今の政権与党は山積する課題に対応する能力が本当にあるのか。疑問を禁じ得ない」などとした知事の来賓あいさつ。
反発を受け、知事は釈明のため県選出国会議員に面会を申し込んだが断られ、「批判する意図はなく、国政全体の混迷している客観的状況を申し上げた」などとする文書を提出。これに対し民主党県連は「党本部と県選出国会議員が協議し、受け付けないと決めた」と返答。ただ県議会の要望は受け付けるという。
県連会長の山田正彦前農相は長崎新聞の取材に「県の要望は一生懸命聞いているのに、あの発言はどういうことだ。新幹線(諫早−長崎)や長崎自動車道の4車線化もわれわれが政権を取ってから実現した。首長として言ってはならないこと」と不快感をあらわにし、知事以外の県担当者に応対するかどうかも「きちんとわびるまで当面は駄目だ」と話した。
22日の会見で中村知事は「重要な要望ができず責任を感じており、県民に深くおわび申し上げる」と話す一方で「県選出の民主党国会議員には大変お世話になり感謝している。発言の真意を理解していただき要望を伝えられるよう努力したい」と述べた。
だが同日の県議会の議運で状況が報告されると、県連幹事長の渡辺敏勝委員は「あの発言で『批判していない』というのは認識が甘い」と指摘。一方、自公の委員は「与党が批判されるのは当たり前」「もう少し懐を深く持って対応できないのか」などと疑問を投げ掛けた。
今回の民主党の対応について、平井一臣鹿児島大教授(政治学)は「利益誘導型政治を否定し政権交代したはずが、旧来の発想から抜け出ていない。知事の発言は一般論にすぎず、目くじらを立てるほどではない。橋下徹大阪市長をはじめ地方の発言に対し、政権政党がおたおたしていては国民の信頼を失い自縄自縛に陥りかねない」と指摘した。
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