今年に入り突如関連本がAmazonランキング上位にランクインするなど、最近ちらほらと耳にすることが多くなった「クトゥルフ神話」。ネットを中心にじわじわとブームがきているらしいけど、一体どんなものなのかいまいちピンとこない…。ということで、クトゥルフ神話ブームの実情を探ってみた。
そもそもクトゥルフ神話とは、20世紀前半に活躍した怪奇幻想小説家、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトとその仲間達によって生み出された架空の神話体系のこと。ラヴクラフトが自身の作品中で生み出した太古の神々や魔導書などの固有名詞を、周りの作家たちが用い、互いの作品の中で共有していくうちにできあがった創造神話なのだ。
なんとすでに100年近い歴史を持つクトゥルフ神話だけど、ここにきてブームが起きているのはどうして?
「日本でのブームそのものは2000年頃からじわじわと始まっていましたが、クトゥルフ神話をモチーフとしたゲームやライトノベルが登場するなど、最近はクトゥルフ神話がよりカジュアルなものになってきました」
そう教えてくれたのは、クトゥルフ神話研究家の森瀬繚さん。コミック、ゲーム、テーブルトークRPGなど様々な形でクトゥルフ神話作品小説の読者以外にもファン層を拡大してきたクトゥルフ神話。だが、ブームと呼べるような動きが出てきたのは「クトゥルフ神話+スーパーロボット」というコンセプトの成人向けゲーム「斬魔大聖デモンベイン」の登場や、ニコニコ動画でクトゥルフ神話のテーブルトークRPGを題材とした動画が人気になったことがきっかけなんだとか。その後、同じくクトゥルフ神話がモチーフのライトノベル『這いよれ!ニャル子さん』がこの4月からアニメ化され一層の知名度を高めるなど、いわゆるオタク文化を通じてのクトゥルフ神話ブームが徐々に広がっているそう。
「『ニャル子さん』放送開始直後に『ラヴクラフト全集1』『クトゥルー1』が爆発的に売れるなど、ゲームやコミックで興味を持ったファンが本来のクトゥルフ神話作品に手を出す動きもあります。こうした動きと呼応するように、ホラー専門誌で特集が組まれたりSFイベントでクトゥルフ神話をテーマに講義が開かれるなど、各方面での関心が高まりつつあるようですね」
クトゥルフ神話の「クトゥルフ」とは、この神話体系の中に登場する架空の邪神の名前のひとつ。このような固有名詞をシェアすることでラヴクラフトの死後も発展し続けているクトゥルフ神話には著名なファンも多く、アーサー・C・クラークやスティーブン・キングなどの作家も多大な影響を受けているという。実は驚くほど多くの作品に影響を与えているというクトゥルフ神話。まずはラヴクラフトの小説を読んでみて、小説やコミック、映画などに密かに散らばっているクトゥルフ神話のエッセンスを探してみるのも面白いかもしれない!
(有栖川匠)
(R25編集部)
クトゥルフ神話ブーム到来!?はコチラ
※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、web R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております
■「エンタメ」に関する過去のイチオシ記事