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2012年5月23日10時30分

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名作マンガ、再始動 009、剣心、キートン、タッチ

写真:「サイボーグ009」完結編拡大「サイボーグ009」完結編

写真:「るろうに剣心」の「キネマ版」 (C)和月伸宏/集英社拡大「るろうに剣心」の「キネマ版」 (C)和月伸宏/集英社

 「サイボーグ009」や「るろうに剣心」など、人気マンガが「リメーク」されて連載を再スタートする事例が相次いでいる。作り手たちはなぜ、再連載に挑むのか。「本家」の前作から何が変わり、何が変わっていないのか。

■作者の遺志継ぎ「最後の戦い」 サイボーグ009

 人間からサイボーグに改造された戦士9人の悪との戦いを描く「サイボーグ009」の完結編「GOD’S WAR」は、ウェブサイト「クラブサンデー」で4月から月1回、無料公開されている。

 作者の石ノ森章太郎は1998年に死去。ノートや原稿用紙、メモに書きつけた完結編のアイデアを劇作家・俳優の小野寺丈が引き継ぎ、今回原作小説を完成させた(秋に刊行予定)。それを石ノ森のアシスタントを務めていた早瀬マサトが作画する。

 石ノ森は生前、009の「天使編」と「神々との闘い編」で最後の戦いを描こうと試みたが、収拾がつけられなくなるなどして2度とも中断した経緯がある。その後「病気を患い、完結編を描くというファンとの約束をまず果たそうとした」と小野寺。

 悩んだのは、神々との戦いをどう描くかということだ。「本人も僕も足踏みした。でも、本人のメモで『肉弾戦』『エンターテインメントで』とあったんです。原点に返ってアクション、アクションでいく展開にしています」

 絵の独特なタッチや空間の取り方は石ノ森に似ている。早瀬にとっても「石ノ森先生ならどう描くか」と考えながらのビジュアル化だった。

 石ノ森作品のヒーロー像は、苦悩を背負っていたり、陰があったりと一貫しているという。サイボーグ戦士たちも数奇な運命に翻弄(ほんろう)されており、小野寺は「正義の味方である前に人間だということも意識して書きました」。

■映画化で「新アイデアわいた」 るろうに剣心

 幕末に人斬りで恐れられた剣心が、明治維新後に罪滅ぼしの答えを模索する「るろうに剣心」が、今月からジャンプスクエア(集英社)で「キネマ版」として連載を再始動した。

 「剣心と薫(かおる)(女剣士)との出会い方とか、同じ登場人物で物語の筋を変えた」と、同社担当編集の細野修平さん。「作者自身によるパラレルワールドのようで珍しい」

 作者の和月伸宏は1994〜99年の「週刊少年ジャンプ」連載で「もう書ききった」と思ったが、再開のきっかけは今夏の実写映画化。和月らが映画シナリオを打ち合わせるうち、新たなアイデアがわき出てきたという。

 絵柄は、前の連載の軟らかい画質に近づけようとしている。直近に手がけた別の作品が硬めの画質なので、軟らかく書くためにペン軸を細くて短いものに変えている。

 剣心はもともと少年マンガの主人公としては優しさが強調されるキャラクター。薫の考え方に影響を受けて「不殺(ころさず)」という考えを推し進める、というテーマ性にも変化がない。時代を超えて評価される普遍性がある。

■20年後が舞台 キートン/タッチ

 話題作のリメークはまだある。主人公キートンが探偵として危険な仕事をこなす「MASTERキートン」の20年後を描く「MASTERキートン Reマスター」(作・浦沢直樹、ストーリー・長崎尚志)が、今年3月にビッグコミックオリジナル(小学館)で始まった。

 双子の兄弟が幼なじみの夢をかなえるために野球で甲子園を目指す「タッチ」(作・あだち充)の26年後が舞台になるのは「MIX」(ゲッサン、小学館)。今月の初回は、タッチの上杉兄弟らが通った「明青学園」中等部が描かれたが、登場人物は違った。タッチとどこまでリンクするのか。再連載の意味が見えてくるのも、まだ先になりそうだ。(岩本哲生)

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