韓国初のサブメートル級地球観測衛星「アリラン3号」が、18日午前1時39分に鹿児島県種子島から打ち上げられ、軌道投入に成功した。サブメートル級衛星とは、1メートル未満の物体を識別できる精密な衛星のことを指す。
韓国航空宇宙研究院(航宇研)は「アリラン3号が18日午前、日本のH2Aロケットから切り離されて軌道に進入し、大田の航宇研地上局と初の交信にも成功した」と発表した。
アリラン3号衛星は、縦横0.7メートルの物体を識別できる超高解像度観測衛星だ。サブメートル級の民間観測衛星を保有しているのは、イスラエル・米国・欧州だけだった。
アリラン3号衛星は、中型車と小型車を見分けられる上、道路に描かれた交通表示も識別できる。建物と道路をかろうじて識別していたアリラン1号(1999年に打ち上げられ任務終了、6.6メートル級)より89倍、バスと乗用車を識別できたアリラン2号(1メートル級)より2倍以上の精密度を誇る。現在、全世界の民間商業用衛星の中で解像度が最も高い観測衛星は、米国のGeoEye(解像度0.41メートル級)で、野球場のホームベースまで捉えることができる。
アリラン3号が日本のH2Aロケットを打ち上げ手段に選択したのは、日本が格安の打ち上げ費用を提示したからだ。衛星打ち上げ市場に初めて参入した日本は、アリラン3号の打ち上げロケット選定をめぐってロシアと競争し、100億ウォン以上も安い発射費用(193億ウォン=約13億円)を提示した。
既存のアリラン2号にアリラン3号が加わったことで、韓国政府は北朝鮮を含む韓半島(朝鮮半島)全域を1日に2回以上、精密観測できるようになる。
アリラン2号は毎日午前10時30分、アリラン3号は午後1時30分前後に韓半島を通過し、映像を撮影する。アリラン3号の打ち上げ時刻が深夜だったのも、韓半島通過時刻を午後に合わせるためだった。
しかしアリラン2号と3号だけでは、韓国の地上観測能力は「まだ半分」にすぎない。可視光線を感知するアリラン2号と3号は、夜間や雲の多い天気の日には観測が不可能だ。2010年11月に北朝鮮による延坪島砲撃事件が起きた際、アリラン2号が衛星画像を即座に提供できなかったのも、曇天が原因だった。
航宇研は、今年7月に全天候対応型の地上観測衛星「アリラン5号」を打ち上げる予定だ。航空大学の張永根(チャン・ヨングン)教授は「電子ビームを照射し跳ね返ってくる信号から地形の変化を探知するアリラン5号は、昼夜や天候に関係なく、24時間地球観測が可能」と語った。
アリラン2号・3号・5号が全て稼働すれば、1日に3.5回以上韓半島の映像を撮影できるようになる。さらに、熱感知が可能な赤外線観測衛星「アリラン3A号」が14年に打ち上げられれば、核実験など北朝鮮の軍事的な動きも事前に感知できるようになる。
■衛星の解像度
衛星のカメラが地上の物体をどれだけ精密に把握できるかを表す尺度。解像度1メートルとは、縦横1メートルの物体が衛星写真で1ピクセルとして現れることを意味する。本格的な偵察・情報衛星とされるサブメートル級は、1メートル四方よりも小さな物体を識別できるという意味だ。米国の軍事衛星「キーホール(Kye Hole)」は、0.15メートルという超精密解像度を誇る。