子どもの心臓再生治療に新手法 岡山5月23日 11時57分
心臓病の子どもの治療に患者自身の心臓の細胞を使った再生医療の研究を進めている岡山市の岡山大学病院は、23日までに治療を行った7人全員の心臓機能を改善させることに成功しました。
拒絶反応がなく、体への負担もほとんど無い新たな心臓病治療の確立につながると期待されています。
子どもの心臓病の1つで、先天的に血液を送る機能の弱い左心低形成症候群は、移植以外に高い効果が見込める治療法はない一方、国内では子どもへの心臓移植は進まず、医療現場で課題となっています。
岡山大学病院では、子どもの患者自身の心臓の筋肉の細胞を取り出して50倍から100倍に培養し、心臓に戻すことで機能を改善させる再生医療の研究を去年から進めてきました。
これまでに0歳から3歳の心臓病の子ども7人に治療を行い、6人の心臓機能の改善が確認されていましたが、23日、7人目の患者についても改善が確認されました。
岡山大学病院によりますと、7人は血液を送り出すため心臓が収縮する機能が5%から22%回復したほか、拒絶反応や副作用もないということです。
子どもの心臓病で再生医療による効果が確認されたのは世界で初めてです。
中には集中治療室から出て自宅で過ごせるようになったケースもあるということです。
岡山大学病院は、7人のデータを詳しく分析したうえで、ことし7月にも、国に対し、さらに多くの患者にこの治療を施すための申請を行うことにしていて、新たな心臓病治療の確立につながると期待されています。
治療に当たった王英正医師は、「国内での心臓移植はほとんど期待できないので、代わりの医療として多くの子どもの心臓病の治療につなげたい」と話しています。
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