静岡・島田市 がれき受け入れ開始5月23日 18時7分
東日本大震災の被災地のがれきの広域処理を進めるため、静岡県島田市は、23日から、岩手県のがれきの本格的な受け入れを始めました。
市では、今後受け入れるがれきの量を年間5000トンと見込み、施設周辺の放射線量や焼却灰などに含まれる放射性物質を計測して、ホームページで公表することにしています。
島田市が本格的に受け入れるのは、岩手県山田町と大槌町の木材のがれきのうち、1キロ当たりの放射性セシウムが100ベクレル以下と確認されたものです。
23日は、コンテナに入った山田町のがれき合わせて10トンが、トラックで島田市の焼却施設に運び込まれました。
周辺の住民4人が焼却施設を訪れ、コンテナやがれき周辺の放射線量を計測し、ことし2月に試験焼却が行われたときより低く、施設内の通常の値とほとんど変わらないことを確認していました。
このあと、がれきは一般のごみと混ぜられ、次々と焼却炉に投入されていました。
島田市では、今後受け入れるがれきの量を年間5000トンと見込み、施設周辺の放射線量や焼却灰などに含まれる放射性物質を計測して、ホームページで公表することにしています。
がれきの受け入れを始めたことについて、静岡県島田市の桜井勝郎市長は「やっとここまで来たかという気持ちが強い。もっと早くできればよかったが、よく頑張ったと思う。ほかの地域も、がれきを入れることで茶の風評被害は払拭(ふっしょく)できると思う」と話していました。
茶農家からは風評被害に不安の声
一方、がれきの焼却灰が運び込まれる、市内の最終処分場に近いお茶の農家からは、今後の風評被害を心配する声が聞かれました。
島田市の最終処分場がある谷口地区は、処分場の周りに茶畑が広がり、およそ220ある世帯のほぼ半分が茶農家です。
新茶の収穫が終わった農家は、今、二番茶の収穫に向けた枝の刈り込み作業に追われています。
島田市に68ある自治会の連合会は、がれきの本格的な受け入れに賛成し、協力していく考えを明らかにしていますが、谷口地区の茶農家の中には複雑な思いを話す人もいます。
自治会長を務める茶農家の数原徹さん(65)は「がれきを受け入れて岩手県の山田町と大槌町を助けたいという気持ちはあるが、いくら市ががれきの処理の安全性を示しても、消費者が求めるのは安心で、風評被害を招きかねない。もし実害が出た場合は市や県には補償を求めることも検討したい」と話していました。
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