がれきの受け入れ 課題も多く5月23日 18時59分
東日本大震災の被災地以外の自治体によるがれきの受け入れに向けた動きは、政府がことし3月に野田総理大臣名で受け入れを求める文書を送ってから徐々に広がっています。
しかし、周辺の住民の反対などもあり、課題は残されています。
新たに静岡県の島田市が23日からがれきの受け入れを本格的に始めたほか、北九州市や埼玉県、それに群馬県の中之条町など3つの町と村で作る組合が受け入れに向けた試験焼却を始めているほか、静岡県では島田市以外の自治体でも試験焼却を行うところが出ています。
このうち群馬県中之条町などで作る組合では、先月、がれきの受け入れを正式に表明し、準備が整いしだい、岩手県のがれきの受け入れを始めたいとしています。
また、富山県と三重県では実際に受け入れる場合のがれきの種類や安全の基準など基本的な事項を定めた覚書や確認書を宮城県や岩手県と交わし、受け入れに向けた準備を進めています。
さらにNHKの取材では、少なくとも28の道府県が、被災地に担当者が足を運んでがれきを視察したり、がれきを持ち帰って放射性物質の濃度を測ったりしているほか、住民説明会を開く自治体も相次ぐなど、がれきの受け入れに向けた動きは徐々に広がってきています。
ただ、こうした自治体でもがれきを燃やした灰を埋め立てる最終処分場などの周辺の住民の反対もあって、正式な受け入れ開始にめどが立っているところは、ほとんどないのが実情です。
これまでにがれきを受け入れているのは東京、山形、青森、秋田に静岡を加えても5つの都県の自治体だけで、被災地以外での広域処理が必要ながれきが、当初よりは減ったものの、240万トン余りに上るのに対し、受け入れがすでに決まっている量は処理済みのものを含めても15万トン余りにとどまっています。
また、すでに受け入れている自治体でも国が示している安全基準より厳しい、放射性物質の濃度が1キロ当たり100ベクレル以下などのがれきに限っているところが相次いでいます。
受け入れを検討している自治体では、住民の理解が得られるような安全基準や、仮に風評被害が起きた場合の対応策などを、引き続き、国に求めています。
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