2005/08/01

商売上手の楽天

楽天の顧客情報が流出した件に絡んで、楽天が次々と対策を打っている。7/28に突然、楽天からのCSVダウンロードデータからクレジットカード情報が非表示となった。予告なく表示が消えて、事後報告されてしまったので、先週末は大変なことになった。今まで自動で行っていたクレジットカードの承認作業が手作業になってしまい、当社も週末何人かが徹夜を余儀なくされた。

プライバシーを保護するという目的にはもちろん異存はない。だが、このプライバシー保護を錦の御旗に、彼らの利益を増大させようという意欲には目を見張るものがある。今回の情報流出を機に、楽天に出店している店舗全店に、楽天独自のクレジットカード決済システム使用が義務づけられるような雲行きだ。楽天の独自システム稼働の折には強制的に加入することを義務づけられる差入書が送られてきた。楽天のクレジットカード決済システムを使うと、全ての店舗は一律3.6%の決済手数料がかけられる。3.6%の決済手数料を魅力的だと思う店舗もあるだろうが、現行の料率よりも大幅に悪化するところもかなりあるだろう。今回の情報流出により、出店店舗はまたもや楽天に利益を自動的に吸い上げられることになる。今回の問題を解決する過程で、どさくさに紛れて焼け太りしようとしているように見られても仕方あるまい。

今回の顧客情報流出は、図らずも楽天が従来からやりたくても言い出せなかったことを推し進める役割を果たしてしまった。販売主体が楽天となり、出店店舗は、楽天商店の一売り場の売り子となる構図だ。商品選定、ホームページづくり、販促、出荷作業は各店舗が行うが、消費者から見ると楽天と取引しているようにしか見えないというのが、楽天の目指す姿だろう。今回はクレジットカードの件に着手したが、個人情報はクレジットカード番号だけでなく、顧客の住所や氏名、電話番号等も含まれる。これらの情報も楽天だけで管理しようとすると、楽天のシステムで出荷を行うという結論が導かれる可能性が高い。出店店舗は商品を楽天の段ボールに詰め、楽天から渡された宅急便の送り状を貼り出荷するという世界に一歩一歩近づいている。そのときは、彼らが現在流通総額といっている数字が彼らの売上になるだろう。

楽天をEコマースシステムのASPだと当初は思っていた出店店舗からすると、そんな契約じゃないよという話だが、今回の顧客情報流出を機に大きく一歩踏み出した感がある。