診療における私たちの方針
年間手術数(2001-2007)
手術成績の「数字」の見方
疾患別の手術成績
協力病院リスト
横山教授:手術経験概要


地域の大学病院は最終到着地です。リスクが高い手術こそ我々の実力を発揮すべき分野です。
待機手術においても手術待ちが4週間以内となるよう院内の体制作りに努めます。緊急、準緊急手術は最大限臨機応変に対応します 。
重症例が多ければ予測死亡率が高くなりますが、我々はあえて入院死亡率をそのまま公表しています。


(2001〜2008)
小児手術 成人手術
人工心肺使用+
冠動脈バイパス

(主に心臓と胸部大血管の手術)
手術総数
(心臓と血管すべての手術の合計)
2001
58 113 111 171
2002
72 146 148 218
2003
87 185 171 272
2004
82 199 173 281
2005
73 208 163 281
2006
55 214 164 269
2007
53 250 158 303
2008
65 248 170 313
2009
56 265 156 321

9年間

603 1828 1414 2429



手術成績を表す数字として、手術死亡(手術後30日以内に患者さんが死亡)、入院死亡(手術後の退院時に患者さんが死亡している状態)、術後合併症発生率(脳梗塞による四肢麻痺や、腎不全による人工透析が必要な状態など不自由な状態で退院)があります。日本胸部外科学会では、全国すべての心臓施設に年1回各心臓手術毎に手術数と入院死亡率を報告することを求めています。ですから、患者さんは手術を受ける時に、病院の最近の手術数と入院死亡率を主治医から聞くことが出来ます。しかし、その数字をどう解釈するかには注意が必要です。
  たとえばAさんが、心臓弁膜症の場合を想定します。手術を受ける病院の平均入院死亡率が5%と言われた場合に、Aさんの入院死亡の確率は5%ではありません。Aさんが、50才台で、心不全症状もなく、他の臓器に合併症もなく、待機手術(容態が安定しているため手術日を決めて余裕をもって手術できる場合)は推定される入院死亡率は1%です。Aさんが、75才で、心不全を繰り返していて腎臓の機能も低下していれば、推定される入院死亡率は10%以上と高率です。つまり、推定される入院死亡率を決定する危険因子をいくつAさんが持っているかによって予測死亡率は大きく変わります。危険因子の数によって予測死亡率(手術の危険度)が算出できますので、自分が手術したときの危険度を主治医に尋ねて手術を受けるか否かの参考に出来ます。一般的に、緊急手術患者さんの全身状態が悪く24時間以内に手術しないと死亡する可能性が高い場合)、高齢の方他の臓器の合併症(脳梗塞、肺機能低下、腎機能低下など)、再手術(病状が進行している、心臓周囲の癒着により手術中の出血の危険が高い)は危険因子です。また、危険因子を多く持っている人は、手術後の合併症の頻度も高いことが知られています。ですから、各病院の平均予測死亡率は、どれだけ重症の患者さんを手術しているかとの指標にもなります。
  手術数が問題にされることがあります。手術が多ければ外科医やスタッフの熟練度が高く、成績も良いだろうという推論から手術数を指標にしているので、一種の間接的指標です。これだけの予測死亡率がある患者さんを手術した時の実際の手術死亡率そのものが、手術成績の直接的指標であり患者さんが本当に知りたい情報です。
  ですから、このホームページには、当院の手術数、予測死亡率、実際の入院死亡率、そして参考のため全国施設の平均入院死亡率を記載してあります。ただし、全国施設の予測死亡率を知る方法は現在のところありません。

(2001.1〜2008.12)

国平均入院死亡率(全手術数に対する手術後退院できずに亡くなった方の数の%)は、
2004年日本胸部外科学会全国統計(52,434例)からの引用
予測死亡率はEUROSCOREにより算出


冠動脈バイパス手術当院症例の平均予測死亡率=5.1%)
初回待機手術……0.9% (3/348)【全国平均2.6%
緊急手術…………3.0% (2/66)【9.1%】
再手術……………5.3% (1/19)【6%】

心臓弁膜症手術(当院症例の平均予測死亡率=5.2%)
初回手術 3.3% (8/246) 【全国平均3.4%】
再手術 0% (0/24) 【9.3%】

解離性胸部大動脈瘤
急性A型 10.1% (9/89) 【全国平均15%
急性B型 16.7% (1/6) 【20%】
慢性A型 5.1% (2/39) 【6.1%】
慢性B型 0% (0/32) 【10.1%】

真性(動脈硬化性)胸部大動脈瘤
非破裂 3.6% (5/138) 【全国平均6.2%
破裂性 37.5% (3/8) 【30%】

先天性心疾患手術
▼人工心肺使用手術
28日未満 28.9% (11/38) 【全国平均入院死亡率18.6%】
1歳未満 4.0% (5/126) 【5.6%】
1歳以上 0.7% (2/271) 【1.7%】

▼人工心肺非使用手術(シャント手術や動脈管結さつなど)
28日未満 2.6% (2/78) 【全国平均5.2%】
1歳未満 0% (0/46) 【2.5%】
1歳以上 0% (0/19) 【1%】



(心臓手術施行施設)   2009.7.1現在
所在地 施設名(指導医、専門医) 心臓血管外科研修施設
福島市 大原医療センター(萩原賢一) 関連病院
福島赤十字病院(安藤精一)   
郡山市 総合南東北病院(管野恵、緑川博文) 基幹病院
星総合病院(高橋昌一 関連病院
太田西の内病院(丹治雅博、高橋皇基) 関連病院
会津若松市 会津中央病院(渡辺正明 関連病院
いわき市 いわき市立総合磐城共立病院
( 廣田 潤、近藤俊一)
関連病院
山形県米沢市 米沢市立病院(三澤幸辰) 関連病院
(太字:臨床教授)


(2001.1〜2010.6)
 


    • 2001年1月からの総執刀数(2010.6月まで、他院での依頼手術を含む)
      • 1055
    • 執刀内訳と入院死亡率
      • 虚血性 504 例 ( 0.6%)
      • 弁膜症 377例(1.3%)
      • 胸部大動脈瘤 196例 (1.5%)
      • 複合(上記疾患の合併:重複あり)121例
      • うち再手術症例 58例 (3.4%)
    • 福島医大の年間心臓血管外科手術数の推移
      横山手術成績
    • 2500例の手術方針を決定
    • 同時期に200例以上を短時間の手術室指導
    • 高難度手術例リスト
      1. 動脈グラフトを用いた多枝心拍動下冠動脈バイパス術
      2. 小切開による再心拍動下冠動脈バイパス術
      3. 複雑病変に対する僧帽弁形成術
      4. 冠動脈、心臓弁膜症、大動脈瘤の複合手術
      5. 右開胸アプローチによる再々再僧帽弁手術
      6. 虚血性心筋症に対する左室形成術と冠動脈バイパス術
      7. 拡張型心筋症に対する左室形成術、乳頭筋接合術、僧帽弁形成術および冠動脈バイパス術
      8. Ross-今野手術
      9. 大動脈弁温存大動脈基部置換術
      10. 心拍動下冠動脈バイパス術併用完全弓部大動脈置換術
      11. 大動脈基部感染に対する手術


福島県福島市光が丘1 福島県立医科大学医学部心臓血管外科 心臓血管外科専門医認定機構研修基幹病院