特集ワイド:東大よ!秋入学考えてる場合か
毎日新聞 2012年02月08日 東京夕刊
東大は外国人教員数も少ないし、海外の大学との単位互換や研究交流も遅れているなど問題が山積している。旧態依然の教育方針も改める必要があるわ。秋入学で、すべてを解決できるとは思わないけれども、一つの起爆剤になるのでは。同時にそれは、小中高の学力が全国学力試験で測れるものなのかといった、そもそも論に行き着くはず。今は各大学で温度差はあるけど、議論は動き始めた。極めて正常な感覚だと思う。
◇研究者の質上げよ−−NPO法人環境エネルギー政策研究所所長、飯田哲也さん
「秋入学」は、国際的な標準に合わせる意味では必要だと思います。ただ、より根本的な問題として、大学の研究と教育のクオリティー(質)を上げることが一番大事です。残念ながら日本の研究者は世界的なレベルではあまりに低い。日本の最高学府である東大でさえ、少なくとも私の専門である環境エネルギー政策分野で、世界で通用する学者はほとんどいないのが実情です。
また、国や政治の影響を受けやすい。国の審議会メンバーに選ばれるだけで満足する研究者もいます。福島第1原発事故以来、「原子力ムラ」の閉鎖性がよく指摘されましたが、例えば「万一事故が起きたらどうするのか」という一般常識に背を向け、専門的な研究にタコツボ的に打ち込んでしまう傾向も見られます。