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第一章
006
 その日の夜。

 風呂から上がった俺は髪を乾かしながら部屋へ戻る。ベッドの上には成人誌の表紙を飾りそうな格好で寝息を立てている少女の姿があった。バスローブを肌蹴はだけさせて絶妙なチラリズムを演出している。俺がベッドに腰を下ろしてもルルは微動だにしない。どうやら演技ではなく本当に眠っているらしかった。

 淫靡な色香を放つ解かれた金色の髪。艶のある唇に揉み心地のいい柔らかな胸。バスローブから食み出した真っ白な太股。黒のニーソックスで絶対領域を引き立て、胸元を強調するような制服を着せれば完璧だろう。おそらく二次元キャラにしか反応しない諸兄さえ勃起すること間違いなしである。

「んんん」

 少女の口から切なげな声が漏れる。寝返りを打つことで今まで以上に淫らな格好になった。二回射精させたことで油断しているのだろうか? もしそうなら少しばかり十代男子の性欲を舐めているだろう。俺はバスローブの中に右手を忍ばせて乳首へ触れる。ゆっくりと筆先で撫でるように転がしていく。次第に桃色の可愛らしい乳首が立ち上がり硬さを増して自己主張を始める。

「……あ……」

 寝苦しそうにルルは愛らしい吐息を漏らした。今度は乳首を弾くように弄んでいく。これはもう感じさせる気満々なので手加減しない。

「ああンッ!」

 どうやら起きたっぽいので唇を奪おうとした瞬間。

「な、なにやってんのよーっ!」

 がっちり握り締められた拳で顎を殴られた。仰け反った俺にルルは怒涛の連続攻撃を仕掛けてくる。俺はベッドの片隅で亀のように身体を丸めながら弁解した。

「ちょっと待て! 俺の顔面が原型を留めているうちに話を聞いてくれ!」

 その願いが通じたのか少女は拳を振るうのを止めてくれた。視線を上げるとバスローブを正して顔を真っ赤にしている。寝起きのくせに機敏過ぎる動きと今さら感の強い羞恥心が謎だ。

「夜這いみたいな行動を取ったことは謝るよ。一度セックスしたからって急に彼氏面されても困るもんな。ただ出会って数分で肉体関係を持つようなルルが急に恥ずかしがるのは不思議なんだが?」
「だだだだだって、あんた、今キスしようとしてたでしょ?」

 だから、なぜ恥ずかしがる。俺は軽く肩をすくめながら肯定した。

「まあ、そうだな。俺はルルにキスをしようとしていた」
「キ、キ、キスはね。本当に好きな人としかやっちゃいけないんだよ?」

 もじもじされても今さら感が拭えない。俺は態度の急変した少女に言葉を投げかける。

「それを言い出したらセックスもだろ?」
「そんなのはどうでもいいのよ。女の武器だし交渉手段の一つに過ぎないもの」

 無茶苦茶だ。しかし夢魔に人間の常識を押し付けても仕方がないだろう。
 俺は鷹揚に首肯して話を進めることにした。

「とにかくキスは駄目ってことだな。わかった。それじゃあ、セックスしようぜ」

 なんとなく「おーっ!」と賛同しやすい語調で言ってみたのだが、じとっとした怒っているというよりも呆れているような冷たい視線を向けられた。

「あんたの性欲には驚きを通り越して殺意を覚えるわ」
「なにをどう通り越したら殺意まで行き着くんだよ! というか精子を搾取する夢魔からすれば俺は優秀な人材じゃないのか! 月間二百本も不可能じゃない精子製造機なんだぞ!」
「ふん」

 少女は鼻を鳴らして金色の長い髪を後ろへ払う。

「私が夢魔じゃなかったらね、あんたなんか快楽で支配して性奴隷にしてるわよ」

 なんか夢魔とそれ以外の違いがよくわからねえ。というか完全に空気が死んだ。この際、小難しいことは置いておこう。俺は悪い流れを払拭するために重要なことだけ確認した。

「まあ、あれだ。決まり事の一つとしてキスはしない。これでいいんだろ?」
「あんたにしては理解が早くて助かるわ」

 湯上り美少女の夢魔は満足そうに微笑む。俺は反論したい衝動を抑えて話を進める。

「じゃあ、俺からも提案させてくれ。夢魔だろうとなんだろうと二人で暮らせば生活費が膨らむ。ただでさえ最低限の仕送りで生活しているんだからな。そこで増加分を負担できないならそれに見合う対価を――」
「はいはい、わかったわよ。要するに人間に見えない能力を利用して荒稼ぎして来いってことでしょう? もっと直接的に言えっての」
「違うわ! これ以上、俺の夢魔に対する印象を壊すな。精子を搾取することが得意なら性行為で対価を支払えということだ」
「ふーん。あんたってさ、そういう無理矢理やらせている感じが好きなの?」
「本当に嫌がってる女の子を無理矢理とかじゃなくてさ、なんというか、お互い理解しつつプレイの一環として虐めたい感みたいな?」

 なんか言ってて情けなくなるな。俺は一体なにやってるんだろうね?

「まあ、いいんだけどね」

 いいのかよ。

「なんか無理矢理やらされてる感も味わってみたいからね」

 どうやら夢魔はSでもMでも対応できる資質を持っているらしい。

「それで私になにをさせたいわけ?」

 ルルは腕を組んで瞳を爛々と輝かせた。言動の不一致にもほどがあるだろう。

「全然Mという雰囲気を感じないぞ?」
「そんなことはどうでもいいのよ」

 きっぱりと少女は切り捨てた。言うと思ったけどさ。

 早々に議論を諦めた俺は部屋の端へ移動する。そしてワンルームには相応しくない大きなクローゼットを開いた。ベッドから下りて傍らまで近付いてきたルルにも中が見えているだろう。

「どうだ! 彼女ができたら着てもらおうと集めた俺のコレクションだ」

 ナース、チャイナ、婦警、巫女、様々なメイド服、有名高校の制服レプリカ、各種ファミレス制服、漫画やアニメの衣装まで幅広く取り揃えている。その総数は購入した俺さえ把握できていない。すべて未使用なので皺一つない完璧な保存状態だ。

「どれもクリーニング可能な生地で作成された本格的な制服なんだぜ。これだけ集めるのに一年間のバイト代すべて注ぎ込まされたからな。もちろん各種制服に合わせた細かい小物もいろいろ購入してある」
「……生活を苦しくしている原因はこれじゃないの?」

 ルルは呆れた様子で核心に触れた。実は俺もそうじゃないかと思っている。しかし漢には絶対に引けないことがあるものだ。

「これだけは譲れなかったのさ」
「まあ、私はいいんだけどね。でも気を付けなさい。気持ち悪さに拍車がかかるからさ」

 そういう憐れむような顔で俺を見るな。罵詈雑言と軽蔑の視線を向けられたほうが気分的に救われる。金髪少女はクローゼットを覗き込みながら先を促した。

「それでさ、どれに着替えたらいいの?」

 各種制服を観察しているルルを横目に俺は思考を張り巡らせた。妄想の中で少女を着替えさせていく。基本的に可愛いので、どの衣装も似合ってしまう。嬉しい悲鳴を上げながら着せ替えを繰り返していると、気持ちの昂ぶったペ○スの先から粘着力のある我慢汁が垂れ始めた。

 そこでふと妙案が浮かぶ。俺は妄想を切り上げて少女に告げた。

「ルルが好きな制服を選んでくれないか? 俺はベッドの上で瞳を閉じて待機してるからさ」

 どんな格好に変身してくれるかわからないほうが熱い。俺はルルの「はーい」という返事を聞いてからベッドへ移動した。我慢汁を出している息子にはもう少しだけ我慢してもらおう。


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