社説:中韓との防衛交流 ぎくしゃくは残念だ
毎日新聞 2012年05月23日 02時32分
中国、韓国の最高レベルの国防当局者訪日が相次いで中止された。国内事情がからんだものだが、地域の安定には日中韓3カ国が政治や経済だけでなく安全保障面で信頼醸成に努力することが欠かせない。ぎくしゃくが続く現状は残念だ。
政府は24日から予定されていた郭伯雄中国中央軍事委員会副主席の訪日延期を発表した。郭氏は中国人民解放軍の制服組トップで、軍事委主席の胡錦濤国家主席、同委副主席の習近平国家副主席に次ぐナンバー3だ。実現すれば02年発足の胡指導部で初めての制服組トップの訪日として、東シナ海での不測の事態に備えた危機管理メカニズム作りなどを話し合うことになっていた。
韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)国防相の今月末の訪日も中止になった。日韓両国は自衛隊と韓国軍の「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)、食糧や輸送作業を融通し合う「物品役務相互提供協定」(ACSA)の締結・署名を目指していたが、先送りされた。北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射では情報把握や伝達の問題点が浮き彫りになっただけに、2協定の締結は日韓の安保分野の協力強化を図るものとして期待されていた。
土壇場で中止となった理由は、ともに先方の都合だという。