特集ワイド:どうすれば安全安心 「釜石の奇跡」に貢献、片田敏孝教授に聞いた「首都直下」
毎日新聞 2012年05月09日 東京夕刊
◇不安になるより動け
迫り来る「震度7」級の首都直下地震。不安を感じながらも「変わらぬ日常」を過ごし続ける大都市の人々は、この災いに立ち向かえるのか。東日本大震災で、津波からほとんどの子供たちが生き延びた「釜石の奇跡」に貢献した片田敏孝・群馬大工学部教授に、どう備えるかを聞いた。【藤田祐子】
◇「どう行動」に答えはない 地形、地盤、家族…条件はさまざま
◇「20年」区切りに次代育てる 国、行政待たず、自分で考え
<災害社会工学を専門とする片田さんは、04年から岩手県釜石市の防災・危機管理アドバイザーとして、防災教育に取り組んだ。片田さんが唱える津波対策の柱は(1)想定にとらわれない(2)最善を尽くす(3)率先避難者になる−−の「避難3原則」だ。東日本大震災では、市内の小中学14校の生徒約3000人が避難。生存率は99・8%に達し「釜石の奇跡」として語り継がれることになった。
一方、マグニチュード(M)7級の首都直下地震は、東大地震研究所のチームが「4年以内に70%の発生率」とするなど、いつ起きてもおかしくない。3月には文部科学省の研究班が、従来想定の震度6強より大きい震度7の揺れが予想されると発表。東京都防災会議は、東京湾北部を震源とする地震の場合、建物30万棟が全壊・焼失し9700人が死亡するとみる>