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東日本大震災(福島原発)(ニュース特集)

原発耐震「再審査不要に」 保安院が安全委に要求

 原子力安全委員会が2006年に原発の耐震設計審査指針を改定した際、経済産業省原子力安全・保安院が、原発訴訟での敗訴などを恐れ、改定後の新指針で安全審査をやり直す必要はないとの見解を出すよう安全委に強く求めていたことが17日、分かった。

 保安院が安全委とやりとりした06年4月付の文書を公開。安全委は保安院の要求を受け、同9月に「審査のやり直しを必要とするものではない」との見解を出した。保安院の森山善範原子力災害対策監は「規制機関としての中立性に誤解を招く部分があり、反省しなければならない」と話している。

 文書は、指針改定の影響について、既にある原発の耐震安全性について立地自治体やマスコミからの批判が厳しくなると懸念し「確たる反論ができない原子炉は事実上、運転停止を余儀なくされる」と強調。「改定を機に多くの訴訟が予想され、国や原子炉設置者は、特段の立証活動なしには敗訴を免れない」などと訴えている。

 四国電力伊方原発(愛媛県)の設置許可取り消し訴訟で最高裁が「最新の科学技術水準に照らし、審査基準に不合理な点がある場合には、それに基づく原子炉設置許可は違法」とした判例も示し、保安院が指針改定による審査やり直しを恐れた様子がうかがえる。

(2012年5月17日)


■原発事故で相談電話開設 政府や専門の研究機関

 東京電力福島第1原発事故を受け、政府や被ばく医療の専門機関が、放射線の健康への影響などについて市民の相談を受け付ける電話窓口を開設している。

 経済産業省原子力安全・保安院は、原発事故の全般的な状況などの問い合わせに毎日24時間対応する。電話番号は03(3501)1505。

 文部科学省は健康相談ホットラインを開設。放射線や放射線の影響に詳しい相談員が応対する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号フリーダイヤル(0120)755199。

 放射線医学総合研究所は、被ばく医療や、放射性物質が体に付着した場合の除染方法などを解説する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号043(290)4003(11日から)。

 首相官邸のホームページには原発事故に関連する情報がまとめて掲載されている。


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