電力会社の言い分を鵜呑みにするエネ庁
当然のことながら、今夏の場合、政府の方針次第では電力の無駄遣いはさらに抑えられるだろうし、稼働してなかった火力発電所などをフル動員すれば電力不足を避けられる可能性が高くなる。
昨年11月1日には、同会議は電力不足対策のためにエネルギー需給安定行動計画を決定した。それによると、電力使用を減らすため、需要のピーク時の電気料金を上げたり、工場を二交代制にするなどの方法で980万キロワットの節電が可能になることが確認され、電力供給量も火力発電などによって642万キロワットの供給増が可能であることが判明した。
「これらの需給ギャップ解消対策により、たとえ一昨年のような電力需要があった場合でも、電力の不足分は最大で34万キロワットまで圧縮できることがわかりました」(荒井氏)
繰り返しになるが、内閣府は電力を無駄遣いした一昨年の需要実績を基準に「足りない」としており、基準の設定じたいに問題があることは言うまでもない。
「34万キロワットは一昨年の最大電力需要1億7954万キロワットのわずか0.2%。この程度で、国が滅びるかのような物言いは異常です。電力不足が起こるとすれば関西電力管内だけでしょうが、そのときは市民に節電への協力を呼び掛けたうえで、他電力から電力を融通してもらうなどの対策を取れば足りるはず」(荒井氏)
PTの川内博史事務局長もこう話す。
「兵庫県姫路市に、来年稼働予定の火力発電所があり、近く試運転する。これを予定より早く本格稼働させて発電させればいいと資源エネルギー庁に提言したら、同庁は試運転のことを知らなかった。同庁は電力会社の言い分を鵜呑みにして見通しを立て“足りない”という。電力の供給源は、探せばまだまだあります」