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<レコチャ広場>中国は製造業王国の座を手放すのか?

配信日時:2012年5月21日 5時24分
16日、台湾の経済学者・石斉平氏は「中国は製造業王国の座を手放すのか?」と題した記事を発表した。写真は浙江省寧波市のスーツ工場。
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2012年5月16日、台湾の経済学者で香港フェニックステレビのコメンテーター・石斉平(シー・チーピン)氏は「中国は製造業王国の座を手放すのか?」と題した記事をブログで発表した。以下はその内容。

米ボストン・コンサルティング・グループの最新報告によると、米国の年商100億ドル(約8000億円)以上の大手製造業企業のうち、48%が生産ラインを中国から米国に移すことを考えているという。自動車メーカー大手のフォードや総合情報システム企業のNCR、世界最大の鍵メーカーのMaster Lock、建築機械製造業のキャタピラーなどは、すでに生産ラインを米国に戻している。

米国は過去100年以上にわたって世界の製造業王国の座に君臨した。その地位を市場経済改革後わずか30年の中国が奪いとったわけだが、中国はたった3年で製造業王国の座を手放そうとしている。中国の製造業が世界一になれたのは、労働賃金の安さ、労働力の質の高さ、行政効率の高さと政府の積極的な介入、インフラ整備の充実、環境汚染に対する意識の低さによるものだ。しかし、現在の中国は賃金も土地も物価も軒並み上昇。労働力や行政効率、政府介入の状況も大きく変化した。さらに環境保護の意識も高まり、設備の改善などにコストがかさむようになったことから、米企業の中国離れが始まったと考えられる。

もっと踏み込んで分析すると、1つのキーワードが浮かび上がってくる。それは「第3次産業革命」だ。機械化による18世紀の第1次産業革命と、大量生産による20世紀の第2次産業革命、そして3Dプリントなどのソフトウエアやナノテクノロジー、炭素繊維といった新素材、遺伝子組み換えのような新技術による生産のデジタル化が第3次産業革命だ。大量生産されたものよりも、少量生産で「カスタマイズ」された商品のほうが、多様化する消費者のニーズにこたえることができる。生産ラインがデジタル化することで労働力や生産コストも小さくなるため、わざわざ中国で生産する必要がなくなったのだ。

米企業の「回帰現象」を中国は反省材料としてとらえるべきだ。これからは「労働力よりも能力重視」の姿勢で教育に力を入れ、すべての起業家や創業者たちが公平に競争できる環境とルールが必要だ。(翻訳・編集/本郷)

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