「K-POP」をはじめとする韓流スター人気に加え、円高の「恩恵」もあって、韓国を訪れる日本人観光客の増加が続いている。
そうした中、ソウル市内の簡易宿泊施設で旅行中の日本人女性が、施設の経営者の友人に性的暴行を受けたとして「告訴」に踏み切り、韓国の警察当局が捜査に乗り出した。
「事件」は韓国の主要紙の東亜日報(日本語版)や朝鮮日報など複数の韓国メディアが2012年5月19日に伝えた。観光旅行で韓国を訪れた40代の日本人女性が、滞在していた「ゲストハウス」と呼ばれる宿泊施設の経営者の友人に性的暴行を受けたと主張した。KBSニュース(電子版)によると女性は帰国後、在韓日本大使館に告訴状をファクスで送ったという。大使館はその後、ソウルの警察署に女性からの告訴状を送付。警察当局は女性側に、被害の詳細を証明するための診断書の提出を要請した模様だ。東亜日報は、日本大使館から直接告訴状が出されるのは異例で、「外交問題への発展」を懸念する声も出ていると伝えた。
日本人にとって、旅行先としての韓国は根強い人気がある。韓国観光公社が公表している2011年の日本人訪問者数は、約328万9000人。東日本大震災により一時的に海外旅行者が減少したにもかかわらず、前年比8.8%増を記録し、総数では中国に続いて2番目に多い。だが今回のような事件は、韓国への旅行に冷や水を浴びせることになりかねない。
女性が被害にあったゲストハウスとは、ユースホステルのような簡易宿泊施設を指し、韓国ではポピュラーな存在だ。大部屋に二段ベッドが複数置かれ、洗面所やトイレは共用というのが一般的なスタイルで、宿泊代は1泊1000~3000円程度とホテルに比べて随分安い。一戸建てを改造して施設化しているところが多く、ゲストハウスの経営者や各国からやってきた宿泊客と旅行情報を交換するなど、交流を図りやすいメリットもある。最近は「完全個室」「女性専用」を提供するところも出てきた。
韓国観光公社のウェブサイトには、ゲストハウスのリストが並ぶ。日本語のサイトを開設し、予約状況の問い合わせも日本語可能としているところは少なくない。経営者のブログやフォトギャラリーを見ると、宿泊客は若者が多いようだが、時には40~50代とみられる日本人女性のグループもいた。
(続く)
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