日本時間3日に米ハワイで事故死した大手芸能事務所・長良グループ会長の長良じゅんさん(本名・神林義忠、享年74歳)の本葬が22日、東京・青山葬儀所で営まれた。“名伯楽”として演歌界をリードし続けただけに、歌手や関係者ら約5000人が参列。所属タレントの中村玉緒(72)、氷川きよし(34)のほか、ビートたけし(65)、北島三郎(75)、和田アキ子(62)ら大物が駆けつけ、最後のお別れをした。
朝から降り続く“涙雨”の中、日本の演歌・歌謡界を愛し続けた長良さんに、5000人超が別れを告げた。約2時間半、参列者の列は途切れることなく、優しくほほ笑む長良さんの遺影を前にそれぞれが“ありがとう”の思いを伝え続けた。
氷川にとって、長良さんは育ての親。「会長の魂は、永遠に僕の心に生きている。会長にご恩返しができるよう、一人前の歌手になれるように決意しました」と、目を真っ赤に腫らしながら語った。99年、所属先が決まらない氷川を、長良さんは出会ったその場で引き受けると決断。「『悲しい歌も笑顔で歌いなさい』って言われて。『悲しいときに、悲しくなって歌っていたらいけないよ』と叱っていただきました」と振り返り、「長良会長は、氷川きよしの全てです」と、最大級の感謝の言葉を口にした。
氷川は「感謝の気持ち」「ファンを大事に」など、長良さんからの教えを全てノートに書きためてきた。「この時代に薄れている、情とか恩とかをたくさん持っていて、学ばせていただきました」。今月7日、長良さんの死去後初めてのコンサートでは涙を流しながら熱唱。「もう泣いてばかりはいられない。前を向いて、会長が喜んでくださるように、人として最高の振る舞いができるような氷川きよしになりたい」と、“ひとり立ち”の決意を新たにした。
長良さんは日本時間3日、米ハワイのゴルフ場で、カート運転中に事故に遭い急死。今月13日に都内の斎場で密葬が営まれた。半世紀以上にわたりタレントを育てた“芸能界の父親”のため、レコード会社関係者ら約400人が葬儀を手伝い、芸能・スポーツ界などから供花約1300本が届いた。午後1時から始まった本葬は、青山葬儀所を囲む人の波で膨れあがり、行列は最大で約300メートルに達した。
戒名は「泰清院殿慈潤徳峰義忠大居士」(たいせいいんでんじじゅんとくほうぎちゅうだいこじ)。「義理人情が厚く、慈悲深い。尊敬され大いなる存在となった」の意味。祭壇は「楽しいことが好きな長良さんが喜ぶように」と、バラや胡蝶蘭(こちょうらん)など17種類6万本の花で彩られた。
◆長良 じゅん 本名・神林 義忠(かんばやし・よしただ)。1938年3月10日、東京都出身。浪曲師である父・東天晴の長男として生まれ、長野で興行の修業をする。上京後の58年、木倉事務所に入社し、雪村いづみの初代マネジャーを担当。浜村美智子、弘田三枝子、山田真二らを手がける。64年、長良事務所を立ち上げ、67年に水原弘を「君こそわが命」でカムバックさせる。山川豊、田川寿美、水森かおり、氷川きよしらを育て、2003年に長良グループ会長に就任。
◆主な参列者 青木功、赤坂泰彦、阿木燿子、秋元康、浅香光代、芦川いづみ、綾小路きみまろ、石井ふく子、石田純一、石橋貴明、IKKO、岩城滉一、岩佐美咲、内田裕也、内館牧子、梅宮辰夫、榎本加奈子、小倉智昭、大信田礼子、大村崑、加藤茶、川中美幸、河村隆一、岸本加世子、北島三郎、グッチ裕三、小泉孝太郎、小林亜星、コロッケ、西郷輝彦、酒井政利、ささきいさお、佐々木主浩、佐藤蛾次郎、山東昭子、里見浩太朗、沢田雅美、シーナ茜、志村けん、ジェロ、城みちる、城之内早苗、真矢、SUGIZO、せんだみつお、高木ブー、高橋あゆみ、高橋惠子、田川寿美、多岐川裕美、立花理佐、舘ひろし、つんく♂、天童よしみ、徳光和夫、鳥羽一郎、富澤一誠、中条きよし、なかにし礼、中村玉緒、仲本工事、中山秀征、錦野旦、野口五郎、萩野崇、橋幸夫、服部克久、林家三平、はやぶさ(ヒカル、ショウヤ、ヤマト)、ビートたけし、氷川きよし、彦摩呂、仁美凌、平尾昌晃、ビリケン(ビリー、ケン)、藤野とし恵、船村徹、Bro.KONE、古舘伊知郎、細川たかし、堀内孝雄、前田耕陽、松浦亜弥、松平健、松本零士、マリアン、丸山茂樹、三沢あけみ、水森かおり、宮本隆治、モト冬樹、森進一、森川つくし、八代亜紀、山川豊、山本譲二、山本リンダ、湯川れい子、雪村いづみ、ラモス瑠偉、龍虎、若山騎一郎、和田アキ子(五十音順、敬称略)
[2012/5/23-06:00 スポーツ報知]