現役職員の立花孝志氏(左下)による内部告発で、NHKに激震が走っている |
平成14年のソルトレーク五輪で300万円の裏金づくりをしたことなどNHKの不正経理について、同局の経理担当職員が実名で「週刊文春」(4月14日号)で暴露し、大きな波紋を呼んでいる。捨て身の告発までの苦闘について、職員本人が夕刊フジに激白した。NHKは、突きつけられた問いにどう答えるのか。
「海老沢(勝二)前会長が辞めてから50日間、経理という立場から自分なりに調べたところ、想像をはるかに上回る不正がありました。NHKは膿を出し切って、しっかり謝罪しなければならない。まずは私がかかわった間違いなく不正な経理について、罪を告白したいと決意しました」
実名で告発した動機について、NHK編成局(経理)の立花孝志氏(37)はそう説明する。
不正経理に加担したことで良心の呵責(かしゃく)に苦しんだ立花氏は、昨年10月から鬱病(うつびょう)で欠勤し、目下リハビリ出勤を目指している段階だ。そんな中でもNHKの膿を出すべく、内部告発を続けてきた。
3月中旬には内部告発が局側に発覚した。NHK関係者から「裏切り者、辞職しろ」というメールが送られてきた。局関係者が立花氏が通う心療内科の主治医を直接訪ね、「立花の行動を制止してください」と要請したこともあったという。
「これだけ職員が多ければ、罪を犯す人間もいるでしょう。NHKの問題は、犯罪者を厳しく措置せず、かばったり隠す体質が染み付いていることです」
立花氏の告発を受けて局側への取材攻勢が強まると、「いま局内は大変なことになっているよ。大パニックだよ」と立花氏に話す職員もいた。
7日の定例会見で、NHKの橋本元一会長は今回の告発記事について、「とりあえず調べてみないとわからない。慎重に調査したい」と述べるにとどまった。
また同日、出田幸彦理事(放送総局長代行)は「(立花氏以外の)担当者はなかったと証言しており、われわれもそう認識している」と述べ、現時点では裏金づくりの事実を確認していないことを強調した。
NHK広報局は「今後は特に裏金について、立花を含む当事者に直接話を聞き、本格的に調査をしたい」としている。
ただし、立花氏については、「(NHKの)産業医が現段階では話を聞ける状況ではない、と診断している」と、今後の調査予定が白紙であることを明らかにした。
一方で同広報局は、こうも指摘する。
「告発の内容は大半が一昨年までのもので、今では当時のような不正はできない仕組みに改善されてきている。昨年10月から欠勤している立花は、現在の体制をよく知らないのではないか」
だが立花氏は「逆に改悪されている。システムを厳しくすると、かえって抜け道を求めるようになる」と反論する。
「定例会見を見て、私の捨て身の告発に対して心が動かないのかな、気の毒だなと感じた。だがそれも恐怖から来る発言だったのではないか。バッシングはすごいだろうが、淡々と仕事に復帰して、内部から黙々と改革し、膿を出していきたい」
立花氏の決意を、NHKはどう受け止めるか。
ZAKZAK 2005/04/08