折り紙を何度も折り込んで、1回だけハサミを入れると、「夢」や「絆」などの文字になる。そんな技を愛知県稲沢市の私立明治保育園長の伊藤信太郎さん(64)が、折り紙と切り紙の手法を合わせてあみだした。いったいどんな技なのか。
「どんな漢字でも、だいたい大丈夫。字画が多くなるほど難しくなるわけではありません」。そう話す伊藤さんに、干支(えと)にちなんで「龍」の字を頼んだ。
完成形をイメージしながら、縦横に何本もの折り目をつけ始めた。それが済むと、目に沿って、どんどん折り込んでいく。始めてから約30分。複雑な形になった紙束をジョキジョキと1回ハサミで切ると、たしかに「龍」が現れた。
「要するに、四角の紙を字画に合わせて分割するわけです。龍は旁(つくり)の横画が七つだから紙の右半分を七つに均等分割して、偏と旁のつながる部分をここに想定して……」
聞いても理解できなかった。
同じ字なら回数を重ねるほどに形もきれいになっていく。もちろん即興でも作れる。字のバランスや字画の太さを整えるために、折り重ね具合を微妙に調節する必要もあるらしい。